緑色の涙は赤黒く【速度松】

８* どうして ページ10

あの日から早くも２週間が過ぎようとしていた。

未だに僕の目は……紅色の、まま。
鏡でこの目を見る度に嫌になる。

……ああ、なんで。なんでなんだよ。
僕は好きな人が痛がるなんて嫌なんだ。

あれからもおそ松兄さんはいつも通り、笑っている。

僕の大好きな、大好きな笑顔。

……の、はず。なんだけどなぁ

兄さんの笑顔を見ると胸が痛むんだ。
手術する前の目の時のように
ヒリヒリ、ズキズキ、痛いんだ。

兄さんは僕がこんな思いをしてるなんて、知らないでしょう？

どうして、貴方はいつもそうやって――――



ある日、兄さんが言い出した。

「海に行こう」

８月になりかける頃。
そういえば、今年は海に行っていないな。なんて。

あまり気が乗らなかったけど、皆行くみたいだしね。

「……いいよ。」

来週の、火曜。

僕は決めた。
兄さんの笑顔をこれ以上見ることなんて、無理だ。



「……もう、お別れだよ。」

最期に、気持ち……伝えれるかなぁ？

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