肆 ページ6
*
少しの騒がしさで目が覚める。
微睡みの中、未だ覚醒していない頭を何とか働かせて今の状況を把握すべく廻りを見渡す。
如何やら此処は私の部屋みたいだ。
私の隣に有るてでぃべあが其れを否応なしに物語って居る。
其の筈、だけれど。
『だぁれも、いない…？』
首を傾げポツリと呟く。
私の記憶が正しければ彼の公園で私は兄様を庇い、意識を失った筈だ。
相手は凶器、と云うか鋏を持って居たので何処か怪我をして居ても可笑しくは無いのだけれど。
何処も痛くなんて無い。
少し頭を掠める鈍痛は屹度寝過ぎに依るものであろう。
一先ず怪我が無くて良かったのだけれど、違和感を感じる。
何て、幼い私にはそんな難しい事を考えるのは似合わない。そんな考えを払触するかの様に頭を振る。
普通に痛い。
兎も角、怪我が無かった私を大丈夫だと認識した母様も父様も此方に来ず、風邪を引いてる姉様の方に居るのかもしれない。
然し、もう少し私を気に掛けて呉れてもいいんじゃないか。
少し丈怒りを覚え、頬を膨らませるものの兄様を助けたのだ。
屹度母様も父様も姉様、其れに兄様だって
褒めて呉れるに違いない。
そう信じて疑わない私は膨らんでいた頬をゆるゆると緩め、先刻の頭何て忘れたかの様に意気揚々と歩き始めた＿＿
*
結果、居るであろうと思って居た姉様の部屋には姉様しか居なかった。
すやすやと眠る姉様の穏やかな寝顔を眺め乍ら少しだけ、ほっとして仕舞った。
姉様の部屋以外の2階はあらかた探したけれど人の気配は無い。
と云う事は1階か、そう思った私は直ぐに階段に向かうと、何やら下が騒がしい。
会話の内容迄は流石に聞こえないが、声を荒らげている様子から言い争って居るのだろうと推測出来る。
何時もなら怖くて其の場をそっと離れて居たけれど、先刻の事も有って迷わず其方に足を運ぶ。
そして声の発生源となる
「だって、彼の子は家の子じゃあ無いでしょ？」
「もう、無理。限界だわ」
大好きな母様の泣きそうで、其れでいて辛そうな声。
其の原因は紛れも無い、私だ。
頭が先刻よりも痛い。まるで金槌か何かで叩かれた様。
耐え切れなく無って自分の部屋に駆け出した私の耳には続きの言葉は届かなかった。
「もう彼の子には近付いちゃ、駄目」
そう促された少年の頬には傷が作られ、空虚な瞳には
*
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1691人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
黒蜜おもち - 終わり！？おっおわ……続き、ください。。。 (3月28日 12時) (
レス) @page38 id: b91ecec67d (このIDを非表示/違反報告)
亜美 - 続きをお恵みください… (12月30日 21時) (レス) @page38 id: 5d2aa23f76 (このIDを非表示/違反報告)
山羊のサーカス(プロフ) - 終わり...だと...!?再度更新を願っております...! (11月25日 18時) (レス) @page38 id: 78c8c266f2 (このIDを非表示/違反報告)
かぐや - 終わっちゃった…更新して欲しいです！！お願いします… (9月8日 21時) (レス) @page38 id: 65c95105c4 (このIDを非表示/違反報告)
rai - お、終わり⁉︎是非更新をしてくれることを願って (8月19日 22時) (レス) @page38 id: 67327e3dd8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ふにゃた | 作成日時：2018年2月18日 19時
