情報屋。-仇 [番外編]-【劇場版銀魂完結編】

405 約束 ページ35

【Aside】









後ろから制止の声が飛んでくるが、

お構い無しに屋根を飛び越え、足を速める








……ぼんやりとだが遠くに見える、ターミナル









『っ、……あ？』









が、再度踏み出した足が動く事は無かった


浮遊感が全身を襲う






不味い、力が抜けて足を踏み外したのか

来たる衝撃に思わず目を瞑る


















『……？』







だが、いつまで経ってもそれは来ない



代わりに来たのは、何かに包まれる感覚





恐る恐る目を開けてみれば、

此方を捉える赤い光が







……此奴は、



この紅は











『……銀時、やんな……？』






｢…………｣








目の前にいる影へ、そう呼び掛ける




全身に力が入らない


目ももう見えない





……でも、

その赤い光が微かに揺れているのは分かった










『ごめんな、


……アンタがアンタに殺されるまでに

あの子らをこの星から逃がしてやりたかったんだけど……』









目の前の男は無口のままだが、

肩に回されている手には力が篭っていく









『……アンタらを護るって言った松陽との約束

あの子達を護るって言ったアンタとの約束



……どっちも果たせんかったな……』







｢…………｣








……ったく、一言でも喋ればええのに








『……ほら、さっさと行かんと彼奴ら待たせるで

安心し、ちょっと休めばまた動ける』









そう言いながら手を伸ばせば、

その手を軽く握られた後、ゆっくり地面に降ろされた




そうして離れていく気配



















暗い路地


一人、静かに横たわる自分











『…………はァ、限界も限界……


まさか自分がウイルスなんかで死ぬとは……』










私しか居ない路地には、

声が反響しては消えていく








『……ま、寂しくは無かったさ』








頭に浮かぶのは、

最後まで自分を信じてくれていたあの馬鹿共







結局自分も彼奴らに縋っていた


早く救ってくれ、って






髪を伸ばしていたのは

彼奴らがきっと揃うようにと願っていた願掛け





……もう、いつの間にかこんなに伸びてしまったな









『……』











ゆっくりと閉じていく瞼









………そう、ちっとも寂しくなかったさ



















路地の脇に咲いていた一輪の花が



ひらりと一枚の花弁を散らした

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