情報屋。-仇 [番外編]-【劇場版銀魂完結編】

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【Aside】







『…………チッ、』






暗がりの中、舌打ちを零す






ピリッとした小さな痛みが走ったと思えば、

指先から血が流れ出てきた






月明かりのみが頼りとなる廃ビルの屋上


壁に寄りかかり刀の手入れをしていた所、

誤って指を切ってしまったのだ







『……ん、これでも案外持った方か

それでも予想以上の速さやな』







指先を口に含み、血を舐めとる

こんなもん唾でもつけときゃ治るって言うしな







『刀の手入れ中に指切るなんざ初めてや

ま、数日前からガタはきてたけど……』








刀の手入れ中に指を切る事





昼間、

すぐ背後まで来ていた総悟くんの気配に気づかない事





役人の手の甲を狙って投げたはずの苦無

それが大きくズレて役人の肩へと刺さった事





妙ちゃんの見舞いに言った時、

花瓶を何度か割ってしまっていた事





新八くんや神楽ちゃん、総悟くん

子供達の背が伸びているのかもよく分からない事








『…………』








…………もう、


目がほぼ見えなくなっている事





髪から色素が抜け落ち始めている事








黒粉で隠したり、笠を被ったりしていたが、

他人を誤魔化せても自分は誤魔化せ無い








『はァ、運が良いのか悪いのか……


身体はまだまだ元気って感じやな

前程でも無いけど……』









黒粉が落ち、白くなった髪先を弄ぶ




どうやら、私は半天人ってお陰で、

地球人よりも症状の進行が遅いらしい




……ま、あくまで遅いだけってこった

先程も言った通りガタが出始めている




なんなら最近進行が速い

お陰で源外さんへの依頼が無意味になりそう




妙ちゃんも薄々気付いてしまっているようで、

最近は中々顔を出せていない






恐らく持ってあと数日







でも、








『不思議やな



死が近いってのに、

恐怖とか悲壮とか……、そんなモンを感じ無いのは





はて、こう感じるのは、

私がそこまで生に執着していなかったのか



それとも、

この壊れきった世界にはもううんざりしてたのか……



はたまた、……』









真っ黒な雲の隙間に隠れている真っ赤な月


ほんの少し顔を覗かせている月に手を伸ばす











『…………この世界を、……このクソみたいな未来を


彼奴らならきっと変えてくれる、』









そう信じているからか

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