第５話 ページ6
ロケの関係で優太と海人の戻りは明日の夜。廉は戻るが、帰宅時間は定かでない。
「俺らがいないのは、連絡しといたから」
それを踏まえて、勇太は言った。自身が車を回してくる合間の話である。最初から出掛ける前提で待っていたかのような、そつのなさだ。
「……玄樹、起きて。歩ける？」
「どこ、行くの」
「京都だよ」
「……そう、分かった」
簡潔過ぎる会話。けれど。
「なるべく、楽な姿勢で休ませてやって」
車の後部座席、肩にもたれかかる玄樹の背中にはビーズクッションをあてがい、気遣うのは長時間移動の負担を承知しているからだ。
「なぁ、連れてかなきゃいけないのか？」
時間がはっきりしないとは言え、廉の戻りを待ってから移動すれば済む話ではないのだろうか。一人、部屋に残してはいけないとしても。
「玄樹が行かなきゃ、意味がないんだよ」
助手席に置いていたブランケットを手渡し、勇太は言った。
「それに、本人も分かってる話だから」
「……紫耀」
細い声で、玄樹は言った。
「神宮寺の話、疑わずに聞いて。でも……」
肩に触れていた額が、膝まで落ちてくる。
「俺が見てる紫耀は、ここにいるんだからね」
それだけを言って、目を閉じるのは。
「熱が出てきたんだろ。ゆっくり、休みな」
走り出した車の中。勇太は既に、前を向いていた。そして、ミラーの中で紫耀を見る。
「いきなりでコイツおかしくなったと思うかもだけど。知ってる限りは伝えるから」
「分かった」
内容を聞く前、に答えは出ていた。さっきの傷も含め、信じることなくして説明はつかないのだろう。考えるまでもなかった。
「……そうだな、何から話そうか」
少し思いを巡らせながら、勇太は言った。
「紫耀は、今いる世界が全てだと思ってる？」
「……は？」
「芸能界、とかそういうんじゃなくて。うん、映画とかマンガで良くあるパラレルワールド？想像して聞いて」
「ああ、うん」
曖昧に答えると、苦笑する気配がした。
「だよね。玄樹も、最初はそんな感じだった。自分たちのいる世界と、それ以外がリンクするなんて想像つかないし。でも、あるんだよ」
「ある、って何が」
「数えきれない別の世界が。その中で特に影響しやすい２つ……天界と魔界の話がね」
京都までの道程。話は長くなりそうだった。
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黒那智(プロフ) - ななみさん» こんばんは、ななみさん♪いつもコメントありがとうございます★完全新作ではなく、いずれ書くつもりだった番外的な続編になります。話数にもよりますが、以前のれんいわカテゴリーに載せる予定なので今少し(いつだよ)お待ちくださいませ。 (2020年10月4日 19時) (
レス) id: 2f3a90e586 (このIDを非表示/違反報告)
ななみ(プロフ) - 新作楽しみです！楽しみがある幸せ^_^黒那智さん、待っております。 (2020年10月4日 16時) (レス) id: 6b92244ddf (このIDを非表示/違反報告)
黒那智(プロフ) - けいこさん» はじめまして、コメントありがとうございます(^_^)まだ書ききれてない部分もあって、ちょっと説明くさいパートが続いてますが、気長にお付き合いいただければ嬉しいです★また遊びに来てくださいね。 (2019年12月8日 3時) (レス) id: bd09ac7e96 (このIDを非表示/違反報告)
けいこ(プロフ) - この不思議なお話好きです。凄く作り込まれていて色々納得！ (2019年12月8日 1時) (レス) id: 5ebf2863bf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：黒那智 | 作成日時：2019年9月22日 16時
