Ⅲ.秘密の７人目【東海オンエア】 (ページ21)

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中長距離担当のマネージャーになったAは、あの2人にゆめまるを加えた4人でよく一緒にいるようになった。

いつかの練習帰りのこと。

「え"、フードコート来たの初めて？」

てつやが彼女の呟きをそのまま返すと、Aは恥ずかしそうに頷いた。

てつやとゆめまるはふたりして顔を見合わせた。そして、あらためて松平家のお嬢様であることを再認識したのだった。

「すごく美味しい、このラーメン。
今まで食べてこなかったの後悔しとる。」

真向かいのてつやに微笑んだAは、チュルルと音を立ててラーメンをすすった。

「そっか…A！

きっと、俺の当たり前と、Aの当たり前ってほんとに違うんだと思う。

だから、これからいっぱい一緒に知っていこ！！
俺も教えるからさ！」

満面の笑顔を見せたてつやに、瞠目してから目を細めるAとは対象的に、眉をひそめたりょう。

それはそうかもしれない。これから一緒に知っていこう。それは、もしかすると、告白と受け取れるかもしれなかった。

「てっちゃん、ありがとうっ。とっても楽しみ！」

Aは驕っていたわけでもなんでもないが、自分とは違う世界のように感じていたフードコートの喧騒を、すんなりと受け入れられたような気がした。

きっと何においても凝り固まった考えというのが自分の中にはあって、てつやはそれをほぐしてくれるのだろう。

Aは、その瞬間満面の笑みを見せた。