Ⅲ.秘密の７人目【東海オンエア】 (ページ18)

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「陸上部、入るんですか？」

「え、あ、そんなつもり無かったんですけど、でも、走るのってあんなに素敵なんですね。

彼らを出来る範囲で応援したいと思いました。」

貴方の走る姿が美しかった、なんて言葉は言わなかったのに、てつやは、ぼんっと顔を赤らめて下を向いた。

「敬語、いいですよ、俺たち同級生でしょ？」
「そうですね、あ、そう！ふふ、ありがとう。

えーっと、」

「俺はてつや。君は？」

「てつやくん！

私は、、松平、Aよろしくね。」

この当時苗字を名乗るのは好きではなかった。思春期ということも、相まって、苗字を言うと、必ず親のことを言われるのが嫌で嫌でたまらなかった。

「松平って、あの松平クリニックの？」

パチパチとおくぶたえの瞳を瞠目させて私を映す。

曖昧にうなずくと彼は大きな眸をキラキラに輝かせてこう言った。

「俺昔からあそこ通ってるよ！！
会ってたかもしれんね！！！」

そんな風に素直な感情を向けられることは随分久しぶりだった。

ドクンと心臓が１つ音をたてる。

顔の作りは全く似ていないのに、どうしてだろう。焦がれてやまない幼馴染と重なった。

「よろしく！！将軍！！」

「し、将軍？」

「松平だから将軍っ！！」

「急だねえ！！」

だからだろうか、てつやから苗字を捩ったあだ名を言われたときに、不思議と嫌じゃなかった。むしろ嬉しかったのだ。