Ⅰ.秘密の７人目【東海オンエア】 (ページ5)

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懐かしい香りページ5

カメラを持っていることも忘れて廊下にしゃがみ込んだまま溜息をついた。

「虫さんも引っかかってくれるなんてね。」

「はぁ、何とでも言いな。」

カメラも奪われて、ニヤニヤと笑われて、してやられたというわけだ。

顔を上げると、彼女は他のメンバーが叫んだり呆れたりしている様子を映している。

離れていてもやっぱりYouTuberだなぁと、思わず笑ってしまった。

「Aちゃんがほんとに怒ったのかと思ったよ。」

「祐輔は何年の付き合いだよ。

分かれよ流石に。

いや、あんたには普通に怒ってるけどな。」

しばゆーに向けたカメラを持つ手が震えているように見えるのは気のせいだろうか。

ちょうど彼女の顔がこちらからはよく見える。

やっぱり泣きそうな顔をしていた。

自然な動作でりょうくんが横からカメラを奪い、彼女としばゆーにレンズを向けた。

「…ただいま。」

「っ！おかえり、Aちゃん。」

しばゆーのハグに、彼女はすんなりと身を任せた。

本名を言うなってのなんて、怒ったふりをしながらも、本当に幸せそうに抱きしめ返す様子が、幼馴染の固い絆を感じさせた。

「Aっ！俺も！俺も！」

「あー！だから本名呼ぶなってんだろ！」

「お前口悪くなりすぎ！！昔はそんなじゃなかったろ！！」

「あー？としみつだって、昔もっと細かったやん！勿論ゆめまるもな！！」

「何なんお前らおしくらまんじゅうみたいになってるじゃん。うざっ」

「じゃあ亮も離れてくんない！？！」

「諦めなよ、将軍。」

てつや、としみつ、りょうくん、ゆめまるが、しばゆーと抱き合う彼女に抱きついている。

ギャーギャー言い合いながらじゃれ合う様子は傍から見るとカオスだろうが、東海オンエアらしい。

虫さん助けてよ〜という叫び声にカメラをおいてその輪に飛びついた。らしくないという言葉は聞かないでおくかな。