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Mondoにプレゼントをあげるのは至難の業だ。
モールに入ってから数店舗ほど見たけれど、Mondoが口にする台詞は「いらね」「持ってる」「誰が使うねん」ばかり。
市販物がダメなら手紙はどうだと思ったけれど「韓国語分からないだろ」と馬鹿にされた。
「日本語じゃダメ?」と聞けば「読まないけどいいの?」と返され、断念。
花を贈ろうとすれば「おぉ〜、マジでいらねえ」と言われた。
確かに花瓶を用意したり、毎日水を変える手間を考えたら、そこまで嬉しくないかな。
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「いつまで見るの? 欲しいものないって」
「じゃあこのお店で最後にします……」
歩き疲れてヘトヘトのMondoを連れ、オシャレな雑貨店に入る。
店内の時計を見れば、1時間近くプレゼントを探索していたことに気付いた。
隣で「早くしろぉ」と急かすMondoを無視して品物をじっくりと見る。
ゆったりとした足取りで店内を徘徊していると、後ろを付いて回るだけだったMondoがピタリと足を止めた。
つられて私も歩みを止める。
「……A」
「欲しいものあった?」
「これ何?」
Mondoが指さしたのは様々な種類の糸が並べられているカゴだった。
韓国語は読めなくとも、近くに置いてあった完成形の写真で分かった。
これはミサンガの糸だ。
それを教えると、Mondoは興味ありげにその糸を見つめ続ける。
「ミサンガ付けたことないの?」
「うん」
「小学生の時、流行らなかった?」
「分からん。女の子は持ってたかも」
男の子はミサンガ付けないのか。
まぁ確かにビーズのブレスレットとかも女の子しか作ってなかったし、持ってなかったな。
「よし、プレゼントはミサンガにしよう」
「作れるの?」
「うん、任せて」
相当凝ったものじゃなければ時間はかからないだろう。
それに作り方の動画だってYouTubeに載っているはずだ。
Mondoはそれなりに関心があるようで「いいねぇ」と言い、自ら進んで糸を選び出した。
チョイスしてくれた色とキットを取ってレジまで持っていく。
黒と青の2色。
綺麗な見栄えになるように懇切丁寧に編まなくちゃ。
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Ayaka(プロフ) - 初めまして。とても素敵な作品をありがとうございます。構成や感情表現が綺麗で、読んでいく度に惹き込まれます。先の展開が凄く気になって楽しみです!お身体に無理をされず、しりお様のペースで書いて頂ければと思います。これからも応援しています! (2022年3月22日 19時) (レス) id: 11c194713d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しりお | 作成日時:2022年3月10日 19時