検索窓
今日:2 hit、昨日:0 hit、合計:2,259 hit

14 ページ14

震える指で真っ白な紙を慎重に開ける。

逸る気持ちを抑えて、徐々にずらしていくと、禪院の二文字が見えて、手が止まった。


__姉か妹か。


俺が望むのは姉の真希さんだ。頭の中で何度も何度も真希さんを呼ぶ。この時だけは全く知らない神に向かって祈りを捧げた。

禪院真、まで見えた。あと一文字が重要だと分かっているのに進めない。この紙を開き終えた時、俺の未来が確定することが、末恐ろしくなったのだ。

中身を知らぬまま今日を終了させたい気分と葛藤し、停滞した指に力を入れて覚悟を決める。


「あ、真希さん、俺とペアだ」


最も希望しなかった名前をこの目でしかと見たのと、隣から喜びを含んだ絶望の声が襲ってきたのは、完璧に同じタイミングであった。

とどのつまり俺がどれほど もがこうと、端からこの紙には禪院真依の四文字が書かれてあったのだ。

これは幻覚だと、そうに違いないと目を大きく開いて名前を見つめるが、当然変化しない。

悪魔が俺を嘲弄している。俺が祈念した幸運の女神を殺害し、次は俺の首をも狙っているのだ。

悪魔の嗜虐心はこんなものでは止まらず、対戦相手すら一存で決められてしまう。

ペアが真依さんになり、そして対戦相手は虎杖と真希さんのチームになった。泣きっ面に蜂とはまさにこのことであろう。

二年生で且つ天与呪縛持ちの真希さんに加えて、ナチュラルボーン鬼神の虎杖が相手となると、勝てる見込みはあまりない。真依さんとペアならば零に等しいだろう。

唯一、俺を救うものはルールのみであった。

今回の訓練は決して対呪術師というわけではない。運が良ければ、または上手く立ち回れば、対人戦を回避することができる。

なぜなら本来の目的は、より早く目標の呪霊を祓除したチームの勝利となるからだ。鉢合わせになった場合、両陣営には戦闘か逃亡かの二択が与えられる。

……おそらく俺達の相手は迷わず戦闘をとるだろうから、なんとかして逃げ切る方法を考えなければならない。

15→←13



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 6.4/10 (13 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
2人がお気に入り
設定タグ:呪術廻戦 , 伏黒恵 , 禪院真依   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:しりお | 作成日時:2021年11月27日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。