一緒に生活[HIKAKIN]

ひとりじゃないからside:光 ページ47

Aが泣いていた、転職活動がうまくいかないのが大きなストレスになっていたんだろう。
落ち込んでいたところを励ましたら大きな瞳から涙が溢れて頬を伝い落ちた。
俺は、正直転職活動を応援していたしいい会社が見つかればいいな程度にしか考えていなかった。
俺の中のAはがんばり屋さんで努力をして確実に成果をあげるような人だったから。
高校のときだって猛勉強して希望した大学に入れたし、就職先だってそうだった。
けれど、Aの努力だけではどうにもならないものもあるのだ、楽観的に考えすぎていたのだろう。

「俺は幼馴染のAを助けたいから、こうやって一緒に住んでるし、それが原因でAに負担を負わせたくないからさ」

本心だ、Aの兄のような存在でありたかったし俺と一緒に住んでることで負担になるようなことはさせたくなかった。
けれど、こうやって一緒に住んでからいつの間にかAが一緒にいることが当たり前になって生活の一部として完全に組み込まれていた。
言葉ではこんな風に励ますようなことを言っていたが、実際Aがここを出ていくとなったら自分はどう思うのだろうか？

「光ありがとね、光がこうやって側にいてくれてよかった」

俺は多分心のどこかでAがずっと一緒に住んでくれたらいいのにと思っていた。
Aが泣いた時、抱きしめてしまおうかと思った。ただ俺の側に居ればいいと言ってしまいそうになった。


俺はまた、Aのことを好きになってしまったみたいだ。

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