一緒に生活[HIKAKIN]

難航 ページ35

「また駄目だったか…」

お昼前掃除をしているときに受信したメールには、先日受けた面接の結果が駄目だったことを伝える当たり障りのない文字が並んでいた。
光の家に来てから積極的に求職活動をしていたが、なかなかうまく行かなかった。
今メールが届いたのは転職エージェントを介さずに、自分で探して直接応募した企業だ。
業務内容も自分のスキルを活かせそうだったし面接も好感触だったのだが、駄目だった。
もうすでに数社書類選考や面接を受けてきたが、いい結果は得られていない。

「うーん、やっぱり難しいのかな…」

せっかく広告代理店で働いてスキルを身に着けてきたのだから、それを活かして働きたいと思っていた。
同じような業種や職種を選んでいたのだが、それがよくなかったのか私自身に問題があるのか。
辞めなければよかったという言葉が頭の中をチラつくが、それは振り払おう。

「どちらにせよ、遅かれ早かれ選択するしかなかったんだよねまるお」

少し離れた場所で掃除を見守っていたまるおが、なんのことだとでも言うようににこちらを見上げている。
これがきっかけで光とも再開できて、まるおともふこにも出会えて、新しい選択をできる道が開けたんだポジティブに考えないと。
不安を今はしまいこんで、家事に集中することにした。


「…うーん難しいなあ」

時間は夜、電気を消した部屋の中でスマホの画面が光っている。
スマホの画面には様々な企業の求人一覧が並んでいるが、それをぼんやりと眺めながらスクロールしていく。
うとうとしながら仰向けの状態でスマホをいじっていたせいで、手を滑らせスマホが顔面に直撃する。

「っ！！痛っ！！…あーもう、今日は寝よう」

自分の間抜けな姿と自分の置かれている状況が情けなさ過ぎて、スマホが直撃した痛み以外の涙が浮かびそうだ。
明日はエージェントとの面談だ、今の状況の打開策がないか相談してみよう。
掛け布団を頭まですっぽり被ったがまだ鼻がじんじんする、明日には治っているだろうが赤くなっているはずだ。

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