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一〇 ページ11

「あ゙っ……!」


 稽古初日から、五日目の朝。

 いつものように布団から体を起こそうとしたが、吊りそうなほどの とんでもない痛みのせいで、それはできなかった。



 ……そう。
 筋肉痛である。

 足が痛い。腕も痛い。
 お腹も背中もガッチガチだ。


 ど、どうしよう……。

 寝転がったまま困り果てていると、襖の向こうに師範の気配が。


「おいガキ。いつまで寝てんだァ」

「ガキじゃないです……。筋肉痛で体を起こせないんですっ」

「あっそォ」


 いや、『あっそォ』じゃないわ。
 こっちは本気で困ってるんだよ……!

 なんて思ったけど、絶対 口には出さない。




「遅れたら、飯抜きだからなァ」

「えっ、そんな! 待って師範、助けてくださいよ!」

「ガキじゃねえなら自分で起きろォ」

「ゔっ……」


 結局、『ひっ』とか『い゙っ』とか言いつつ必死に起き上がって、プルプルしながら居間へ向かった。

















 しかし、筋肉痛の中 行う鍛練は、よりいっそう辛い。

 何をするにも「あ゙あ゙あ゙ー」と喚き、一日を過ごした。





 夕刻。
 外で腕立て伏せをしていたとき、晩ご飯の用意ができた と一人の隠が知らせに来た。

 ほっ、と力を抜いて そのまま地面に突っ伏す私を他所に、師範は踵を返す。


「ま゙、待ってください、師範……! もう動けないっ、歩けないです助けてぇ……!」



 そう頼んでも、師範は私と隠を置いて行ってしまった。

 うう……なんて人だ……!

 がっくりと項垂れていると、隠の人が私に背を向けて屈んだ。


「……ほら、乗れよ」

「へっ?」

 思わず、高い声が出た。
 キラキラと瞳を輝かせて「ありがとうございます!」と素直にお礼を言う。

 最後の力を振り絞る という感じで、なんとか体を起こし、隠の人の背によじ登る。
 私が乗った後、彼は立ち上がって歩き出した。





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黒渦クレナ(プロフ) - 春駒さん» あああありがとうございます!(動揺) 嬉しすぎて、文字打つ手が震えます…! 更新頑張りますっ! (2020年3月20日 15時) (レス) id: 232aa570e5 (このIDを非表示/違反報告)
春駒(プロフ) - か、神作の予感…!!続き楽しみにしてます!! (2020年3月20日 15時) (レス) id: db12751af0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:黒渦クレナ | 作成日時:2020年3月19日 21時

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