後日談 ページ22
会えない間ゼンへの思いを募らせていくAは旅先でよい縁談があっても断っていた。
数年たち旅から帰ったAは変化した街や人に時の流れを感じつつも、自身のその思いに変わりはなかった。しかし、親しんだその銀髪の横には見知らぬ赤髪の美しい女性白雪の影があることを知る。
正式に商会を継いだAは到着後引継ぎの仕事を進めていくが、その耳に入るのはかつての自身とゼンとのありもしない恋物語、そして赤髪の娘と第二王子の交流。
Aは、しばらくして用意された王家での茶会の際、思い切ってその心を確かめようとする。
数年前の言葉に浮かれた哀れな少女だとでも思われないといいなと考えつつ伯爵令嬢らしい美しい装いで茶会の場に向かえば、その場にはAしかいなかった。
てっきり王家主催だから他のご子息ご令嬢もいるかと思えば、迎えたのは時がたち自身の背をも越えんとする懐かしい友人の姿であった。
＊＊＊
「久しぶり、Aさん」
「ゼンくん……」
いったいわたしは何十年旅にいっていたのだろう。
それとも、一人の少年が青年になるにはたいして時間はいらないのだろうか。
風になびく青みがかった金髪に、大好きな海を閉じ込めたような瞳。
引き寄せられるように近づけば、かつて私よりやや低かった目線は私と同じか少し上にまでなっていた。
私の知らない姿。
街と同じ、時の流れを感じた。
こうなるほど時間がたったら、人の気持ちは綺麗な思い出となって消えてしまうかもしれないと、ふと思って、まざまざとつきつけられた現実に恐ろしくなる。
私の時は、海へ旅立ってからずっと止まっているというのに。
考えないようにごまかしていたことに、私は思わず泣きそうになって彼を見上げた。
「……ずっとあなたを、夢に見ていた。忘れないでいてくれたらそれだけでもいいとすら思っていたのに」
思わずといった彼の顔と、唐突な告白。
「すまない、祖母殿から航海中のあなたの話を聞いた……俺のことを想っていると、自惚れても良いだろうか」
「……っもしかしたら、あれっきりかもしれないって……に、二年たっても三年たっても、私の心の中にはゼンくんしかいなかったわ。でも、もしも私だけだったらどうしようって……」
言いながら泣いてしまった。これこそ夢だ。
今にも縋り付きたかった、その腕に飛び込んでその温かさを確かめたかった。
優しく頬をなぞられる。
どこか嬉しそうで、安心したような彼の顔が近づいて＿＿＿＿。
終わり
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黒髪の白雪姫 - 天泣tenkyuさん» 返信ありがとうございます♪(〃^ー^〃)もちろんです！ゆっくり大丈夫です！更新がんばって下さい！( ＾ω＾ ) (2018年2月4日 16時) (
レス) id: efdbcf38a9 (このIDを非表示/違反報告)
天泣tenkyu(プロフ) - 黒髪の白雪姫さん» コメントをいただけてとてもうれしいです！このとおり更新は遅いですがしっかりと構想を練り完結させたいと思っておりますので最後までよろしくお願いします！ (2018年2月3日 12時) (レス) id: 6a5dbc60dc (このIDを非表示/違反報告)
黒髪の白雪姫 - 初コメです！凄くおもしろいです！更新がんばって下さい！ (2018年2月2日 17時) (レス) id: efdbcf38a9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：天泣tenkyu | 作成日時：2017年9月18日 6時
