吸血鬼少女は断固反社お断りしたい【梵天】

◆4 ページ4

ぴちゃり、ぴちゃりと人間の傷を舐める。




「何、すんだ、オイ、テメェ、！」




久しぶりに血を摂取したせいか、今まで飲んだどの血よりも美味しく感じる。


弱った人間を襲うのはポリシーに反する、そう分かっていても本能には抗えない。この人間の傷を治すのが最優先だ、と甘いそれに酔いふわふわとした頭に訴えかける。間違っても、理性だけは飛ばすまいと。




「〜〜ッ、やめ…！！」




あと少しで傷が塞がる。それまで持ってわたしの理性。




『ぉ、わった…』




傷が塞がったのに安心してわたしは背後から来る気配に気付かなかった。




「三途、オマエやらかしたの…って誰だそいつ！？」

『！？』




ヤバイ、別の人間に見つかっちゃった…！！


血を大量摂取した事でぼーっとする頭をなんとか奮い立たせて直ぐさまその場から去る。


「待て！！！」と後ろから声が聞こえるけどそんなことしてる場合じゃない。


ビルとビルの屋上を飛びながらわたしは夜の東京を必死に逃げた。







◇竜胆 side




三途が裏切り者を始末した際に他組織からの横槍が入り、何とか全員スクラップにしたものの大ケガをした、という連絡が入った。


普段なら別の奴に行かせる所を、あのヤク中スクラップ野郎がやらかした所を一目拝んでやろうと現場に向かった。


そして俺が見たのは、三途の出血部位を舐めている女だった。顔を上げ、こっちを向くとソイツは震えるほど綺麗な顔をしていた。口元にべっとりと付いた赤いソレでさえその顔を引き立たせている。


俺の声に反応した後、ソイツは飛んだ。比喩表現なしに、一気に上へ飛び、そのまま遠くへ逃げていった。


呆気に取られながら三途の方を見る。




「！？」




大ケガをしたハズだ。


血の痕はあった。が、そこにあるはずのケガは綺麗さっぱり無くなっていたのだった。

◆5→←◆3

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す