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「?レイって人を探してるの?」
不思議そうに返す女の子に、はっと我に返った。
…なにを考えているんだ俺は…
『…すまない、少しボーっとしていた…お嬢ちゃん、此処が何処なのか知っているかい?』
「ううん、ボクも分からなくて…多分、彼処から落ちたんだと思う」
そう言って、遥か頭上に見える穴を指差す女の子。
……落ちたって、よく無事だったな?
…え?花がクッションに?……頑丈な花だな。
女の子はフリスクというらしい。
エボット山に登り、迷ってしまい…帰り道を探している内に雨が降り出したため雨宿りをしようと入った洞窟の中で穴に落ちたんだとか…
何故、山に登ったのかと聞いたら
「山頂にね、綺麗な青いお花があるって聞いて…お薬にもなるって…だから、院長先生にあげたくて…」
めっちゃ良い子だった。
何この子、超健気…!
「お兄さんは?どうして?」
『俺は自室に居た筈なんだが、気が付いたら此処に居てな…』
「お部屋に居たの?お山じゃなくて?」
『ああ』
何でー?と首を傾げるフリスクに
何でだろなー?と同じように首を傾げればクスクスと笑われた。
………ああ、和むわぁ…
運営が用意したイベントにしては随分と毛色が違うなぁ…と思いつつも先程までの焦りが緩和されていくのを感じる。
ペロロンチーノが居たら暴れてただろうな、萌えで。
そしてシバかれてただろうな、ぶくぶく茶釜さんに。
…だが、
「お兄さん、ボク帰りたい…だから、一緒に行こう?」
『…ああ、いいぞ。一緒に行こう』
そう言って、伸ばしてきた手を握り返して…
ゾッとした。
フリスクの小さな手から、本来ならば感じる筈のない…脈と温もりがあったから。
まさか…ここは現実…?
だが、それなら…どうして俺は…
ユグドラシルの、アバターのままなのだろうか
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まめまめ - 面白いです! (2022年8月21日 22時) (レス) id: 85d12496b0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白玉餅 | 作成日時:2018年11月12日 0時