Under world ページ9
岩肌に囲まれた薄暗い空間。
足元には金色に輝く花々…頭上からは光が差し込み、花と俺を照らしていた。
よく見ると、遥か遠くに見える光源は…穴か何かのようだ。
とてもではないが登る事は出来ないだろう。
『……どうなってんだ…?ユグドラシルは、終わった筈じゃぁ…?』
時間は正確だった。
今頃サーバーダウンによる強制排出されている筈なのに…
そう思って時計を確認する。
0:02:10
…0時を、確実に過ぎている。
そして時計のシステム上、表示されている時間が狂っているはずが無い。
困惑しながらも、他に何か情報は無いかと辺りをうかがう。
何度か目を閉じたり開いたりをしてみるも…先ほど、目を開いた時から何も変わっていない。
花々の咲く薄暗い空間だ。
「サーバーダウンが、延期した?」
考えられる。
何らかの要因によってサーバーのダウンが延期しているのだ。
解せないのは自室から見知らぬ場所に移動している事だが…何かのバグか、イベントかもしれない。
もし、そうならGMが何かを言っている可能性がある。
俺は慌ててモモンガさんと連絡を取ろうと、今まで切っていた通話回線をオンにしようとして…手が止まった。
システムコマンドが一切出ない。
「は…、うそ、だろ……?」
システムコマンドだけではない。
本来なら浮かんでいるはずのシステム一覧も出ていない。
俺は慌てて他の機能を呼び出そうとした。
シャウト、GMコール、システム強制終了入力。
…どれも感触が無い。
まるで俺だけが、完全にシステムから除外されたように…
『なんなんだ、これは…!!』
口から出た怒号が広い空間に響き、そして消えていく。
本来なら誰も反応するはずの無い、八つ当たり気味のものだったはずだ。
そう、先ほどまでならば――
「お兄さん、どうしたの…?」
初めて聞く幼気な声。
呆気に取られながら声の元を辿る…
それは、俺を見上げる小さな女の子のものだった。
「どこか、痛いの?」
心配そうに首を傾げながら問いかけてくる女の子。
…似ている。
瞬間的に…そう、思った。
肩付近で切り揃えられたサラサラとした茶色の髪、伏せられた目、そして…顔立ち。
声は少し高いが、それでも…
『レイ…?』
首を傾げるその仕草でさえも…妹に、よく似ていた。
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まめまめ - 面白いです! (2022年8月21日 22時) (レス) id: 85d12496b0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白玉餅 | 作成日時:2018年11月12日 0時