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暫くして、フリスクを解放した彼女はひとつ頷いて…俺に顔を向けて、言った。
「2人共…どうしても行くのよね」
『ああ、行くよ』
「なら…私は、もう止めません」
惜しむ様に、その手が小さな頭を撫でる。
感触が心地良いのだろう、フリスクの頬は緩んでいる。
そして、想いを断ち切るように…離れた。
「約束してちょうだい、この扉の外に出たら…二度と此処へは戻らない事」
寂しそうに、しかし毅然とした態度でフリスクに言うトリエル。
言われたフリスクは少し涙目になっている。
「どうか分かってちょうだいね…さようなら、私の大事な子達…」
そうして、立ち上がった彼女が去ってしまう…
その前に
『俺は貴女と約束していない』
そう言った。
ピタリ、と止まる足。
驚いてる顔が、俺に向けられる。
『その約束をしたのはフリスクで、俺じゃない……モンスターは封印されているんだろ?なら、此処に留まっているのは何も好き好んでいる訳じゃないって事だ…地上に出るついでに、モンスター達も連れてってやるさ』
わなわなと震える彼女をそのままに、俺はフリスクを連れて扉の向こうへと進んだ。
……彼女には酷な事をしたのかもしれない。
彼女の為を想うならば、期待なんて…抱かせるべきではないのかもしれない。
でも
『別れるなら…次の再会を願う方が、ずっといい』
呟いた言葉を聞いたのか、フリスクと繋いでいる手に…そっと力が込められた。
ガコン…
俺達の後ろで、扉の閉まる音が…重く響いた。
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まめまめ - 面白いです! (2022年8月21日 22時) (レス) id: 85d12496b0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白玉餅 | 作成日時:2018年11月12日 0時