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フリスクは…わざと、ずっと見逃し続けている。
決して手を出さない。
きっと、それが……あの子の決意。
伏せられていた瞼が薄っすらと開かれて…金色の瞳が、現れた。
「…やめなさい」
その瞳を初めて見ただろうトリエルが、僅かに震えた声を出した。
「そんな目で見るのは…やめて…っ」
目は口ほどに物を言うと聞く。
彼女の目にあるのは、金色の瞳に対してではなく…
フリスクの目に宿る決意に対して、抱いた恐れだった。
「本当は…分かってるわ……貴女はお家が…地上が恋しいのよね」
やがて。
炎を消したトリエルが…力無く俯き、呟いた。
「でも…、お願いだから部屋に戻って…私がちゃんとお世話する…約束するわ」
語りかけられるフリスクの表情は…俺からは見る事が出来ない。
見るつもりも、無いが。
「確かに此処は何もない処だけれど…私達きっと楽しく暮らしていけると思うの」
確かに、彼女の言う通りではある。
何故なら本当に楽しかったからだ。
美味しい料理。
自由に過ごせる時間。
優しい眼差しと気遣い。
……あの世界を経験した俺には、眩し過ぎるくらいに。
でも
「お願いだから……お部屋に戻って……」
「ごめんなさい」
俺達が…いや、フリスクが居るべきなのは…此処じゃない。
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まめまめ - 面白いです! (2022年8月21日 22時) (レス) id: 85d12496b0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白玉餅 | 作成日時:2018年11月12日 0時