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パイは最早、言うまでもなく絶品だった。
というか食べ物って、こんなに美味いモノだったんだなぁ…
……俺が食ってきたモノはきっと泥団子だったんだろう。
それくらい、この世界の食べ物は俺に衝撃を与えている。

現に…昨日初めてパイを食べた時なんか、あまりの多幸感に思考がぶっ飛んだし。
フリスク曰く、30分くらい話しかけても揺らしてもフリーズしたまま反応しなかったらしい。

それで体制が付いたのか、今朝はそこまではならなかったらしいが…やっぱり数分フリーズしたようだ。
パイでこれなら…に、肉とか魚の場合、俺は一体どうなってしまうんだろうか。

「美味しいけど、そんなになる程かなぁ…」

サクサクとパイを食べながら、不思議そうにフリスクが言う。

…甘い、甘いぞフリスク…
その考えはモンスターキャンディ(さっきトリエルから貰った。コレも超絶に美味い)の5万倍は甘い！！！！

『あちらの世界の食べ物はな…まずパックに入ってる』

「？うん」

『カレー味、チョコレート味、おかゆ味、焼魚味と多種多様な種類があって』

「待って、レパートリーおかしくない？」

『その全てがドロドロの何かでな、表記があろうと無かろうと味の違いが分からん。そもそも固形物は超高級品扱いで、肉なんて直径1cmのブロック1つで給料2ヶ月分はぶっ飛ぶくらい』

「A！もういい、もういいから！！」

語っていたら必死な様子のフリスクに途中で止められた。
どうやら死んだ目をしていたらしい。

ついでに、いつから聞いていたのか涙目で部屋に乱入してきたトリエルに
「遠慮せずに沢山食べなさい！！」って抱き締められた後、焼き立てらしいパンを沢山貰った。

……サクサクでフワフワでジューシーで…とにかく口の中と脳内が幸せになった。
何度か、俺の命日は今日なのか…はたまた既に召された後なのか…と考える程に美味い。

「どうしましょう、あの様子だと予定のオヤツをそのまま出すべきか迷うわね…」

「何を出す予定だったの？」

「チョコレートケーキよ」

「それはいけない」

そんな会話が後ろでされている事にも気付かず、俺は幸せに浸り続けたのだった…

ちなみに、その日にオヤツだと出されたのはクッキーとやらだった。

黒い粒々はチョコレートらしい…
おかしいな、チョコレートってこんなに甘くて幸せな食べ物だったっけ？

ぼんやりしながら食べている間、両側から抱き締められたり撫でられたりした。

あれ？やっぱり俺死んでるんじゃ…？？？