My child ページ16
フリスクが泣き止んだ後、念の為 怪我をしていないかの確認をしていた時だった。
ザリっと地面を踏み締める音がしたのは。
『フリスク、こっちに居ろ』
「う、うん…」
また、あの花のような奴が来たのかもしれない。
そう思い、フリスクを音のした方とは逆に行かせ構えていると
「あら…こんにちは」
白い…牛?いや山羊のような生き物が現れた。
……鮮やかな紫色の、女性物の服を着て。
「…もふもふ、だぁ…」
背中からフリスクの小さな声が耳に届いた。
いや俺も思ったけど、今は大人しくしててくれフリスク…
『誰だアンタ』
「怖がらなくても大丈夫よ…私はトリエル、この遺跡の管理人です」
…遺跡…
此処は遺跡だったのか…てっきり、こう…第四階層の地底湖みたいなのを想像してたな…
「人間がこの世界にきたのは本当に久しぶり!さ、行きましょう!遺跡を案内してあげるわ!」
そう言って、彼…いや彼女?は嬉しそうに歩いて行ってしまった。
……あの花とは違うようだけど…用心しておくに越した事はない。
が…
「こっちよ!」
ニコニコとしながら腕をぶんぶんと振る様子に内心少し脱力しながら、俺とフリスクは付いて行く事にしたのだった。
結論から言って、彼女…トリエルは味方足り得る人…否モンスターだった。
彼女と話して判明した事は…
・此処は地底世界。
・此処には昔人間との戦争に負けて封印されたモンスター達が暮らしている。
・危険なので遺跡から出てはいけない。
・モンスターに襲われる事もあるが基本的に話し合いで解決可能。
・今日から貴方達は我が子よ!
以上である。
正直、最後の意味が分からないが、きっと彼女なりの好意の示し方なのだろう…
俺達が居るのは遺跡…ルインズの奥に建つトリエルの家だ。
俺達が来た祝いだと焼いてくれていたバタースコッチシナモンパイとやらを御馳走になり(とんでもなく美味かった…)今は与えられた部屋で休んでいるところだ。
部屋は広く、ベッドはフカフカ…
会ったばかりの他人(しかも異種族)に対しての待遇とはとても思えない。
もし、これが油断させるための罠だったとしたら…
そこまで考えた時、不意に裾を引かれた。
…フリスクだ。
「A、今なにを考えてたの?」
……この子は心眼スキルでも持っていたりするんだろうか…?
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まめまめ - 面白いです! (2022年8月21日 22時) (レス) id: 85d12496b0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白玉餅 | 作成日時:2018年11月12日 0時