【w.r.w.r.d.!】Mi sta cercando (ページ30)

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「よし、じゃあ買ってきます！」

「待って」

そう言ってレジに走り出そうとした私をひとらんはやんわりと制止をかける。え、どうしたのかな、やっぱりひとらんも欲しかったのかな？

「貸して、そのぬいぐるみ。俺が買ってくるよ」

「え、いいよ私買ってくるから大丈夫！」

ほら、と手を出すひとらん。しかしさすがに自分が欲しいものを人に買わせるのもなんかなぁと思った私は丁寧にお断りする。

「いいから」

「っあ！！」

そんな私に動じることも無く、サラリとひとらんは私からぬいぐるみを奪い去った。突然の事だったので私は何も反応もできず。気づいた時にはもうひとらんがレジに向かって歩き出している。何とか追いかけてぬいぐるみを奪い返そうとすると、ひとらんがぬいぐるみを高いところまで持ち上げるため、ぴょんぴょんと跳んで取ろうとはしてみるが全くぬいぐるみに掠りもしない。くそ、私の背よ、もっと伸びろ！！！なんでこんな私の身長は小さいんだよ！

「……A、これは俺からのプレゼント、ってことじゃあダメ？」

その軍帽からちらりと見える眉は何時もとは違って垂れ気味だ。そのおかげで心做しかひとらんがしょげているようにも見える。

「うっ、あ、うん、ありがとうひとらん」

残念ながら私はその顔に弱い。だから情けないことに許可してしまうのだ。ああ、彼氏に物買わせるとか、私。なんて強情な奴なんだ。さすがに相手が買ってきてあげると言ってくれたとしてもそこは彼女として逆にひとらんになにかしてあげるぐらいじゃないと！

そうしょげている私に目を向けず、ひとらんは嬉しそうに顔を輝かせてぬいぐるみ片手にレジへと走っていった。

店員がそれに驚いて引き気味で接客してたのは見ないふりをしておく。