【銀魂】赤子を拾いまして。

25、祭りの日 ページ27

いつも通り、朝日と共に目覚めた。
夏でも早朝は心地よく澄んだ空気をしている。
…ただ都会というものはやはり空気や水を濁らせてしまう。

貴「よいしょっと…鎮、おはような。」

最近、鎮は夜泣きをぴったりとやめた。それどころか言葉を多く理解するようになっている。
そのうち床を這って歩くようになるだろう。


早い。獣の血を受けると、成長も獣と同じくらいのスピードなのか…。



布団から起き上がり、服を袴(上は白、下は紺という飾り気のなさ)
に着替えると、襷をかけて、髪を背中でまとめ、鎮を背負う。

新選組での私の朝は誰よりも早い。
攘夷時代、伊達に過ごしていたわけではない。

ぱぱっと朝食(栄養ガッツリ取れます)を作り、洗濯物を済ませ(手洗い。機械は分からん。)
自分も食事をとり、鎮に乳をあげ、皿洗いを済ませる。

組員達が起きる頃には全て終わっている。
此処に来てしばらく経っているから、手際もいい。

組員「白夜さん、おはようございます！」

貴「おはよう。朝飯できてるから、みんなに食べていい様伝えてくれ。」

組員「了解です！！」


結局、新選組全員が私と鎮について知っている。
誰かに話そうものなら即切腹、もしくは処罰、つまり斬られるという事らしい。


土方が鬼の副長と言われる理由が分かった気がする。


と、現在私は剣道場で自分の刀を振っている訳だが。(鞘からは出してない。)
刀と鞘が全く抜けないようにしている紐の鈴は鳴らない。

ということはこの辺りは安全なのだ。
この鈴は、‘’とあるもの‘’にしか反応して鳴らない。
わたしの力、霊力か妖力か神力かよく分からないが、練りこんである。もちろん紐も。
なので、現在この刀はそのとあるものの前でしか抜けないようにした。
まあそれが正解だろう。戦の道具など、必要ない世の中が一番良い。


鎮は道場の隅で大人しく座っている。座れるようになるのも早い。
おかげで助かってはいるが。

と、毎朝恒例のバズーカ砲が響き渡る。

ああ、朝礼が始まったかとのんきなことを考えていると、
朝礼の会話が聞こえてくる。

夏祭りがあるらしい。

私も一度だけ先生が連れて行ってくれたことがある。
先生はお祭りに来てすぐ、狐の面に似た白い龍のお面を買って、すぐに私の顔に掛けた。


　―『白夜、これをつけておきなさい。外してはいけませんよ。白夜は本当に
　 美しいですから、顔を晒すとこの神社の神に隠されてしまうかもしれませんよ。』

２６、懐かしい名前だけは聞こえたり聞こえなかったり→←おしらせ

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す