41人目 ページ7
茶色のふわふわで長めの髪。
緑に身を包んだその姿。
頭にのった赤いトルコ帽。
細い目から覗く深緑の瞳。
すべてに見覚えがあった。
嗚呼、ターゲットは一か月ほど前、一緒に過ごした仲間だったじゃないか。
彼女は口を開け、呆然とその姿を眺めていた。
動かなければいけないのに、動けない。
―俺が、オスマンを、殺す？
もう既に体験したことのあるこの状況。
グルッペンを殺さないで、もう親友ともいえるであろう仲になったオスマンを？
早く帰りたい。
その姿を俺に見せないでくれ。
帰りたくなるじゃないか。
離れたくなくなるじゃないか。
君たちと一緒に過ごした日々が、恋しくなるじゃないか。
深く息をして、立ち去ろうと体の向きを変える。
ダクトの壁に体が当たらないように。
音をたてないように。
彼らが、俺を思いださぬように。
俺が、彼らを忘れるように。
待機しているとき、音を鳴らしたブーツを脱ぎ捨てて、四つん這いになって進む。
瞬間。
カラン。
軽い金属の音が響いた。
金属と金属の擦れる音。
彼女の腰に引っ掛けていた拳銃が、滑り落ちたのであった。
長い時間しゃがんでいたからであろう。
位置がずれて、落ちてしまった。
当然ながら、その音は下にいるオスマンやナットの耳にも入るわけで。
os『！？何奴！王！何事であるか！』
ドスのきいたオスマンの声が響く。
彼女は歯をギリっと鳴らす。
裸足のままでダクトから飛び降り、その手に持っていたナイフの銀と朽葉色の髪を赤黒く汚すのであった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
朽葉色とは、くすんだ赤みがかった黄色のことです。
でもほとんど茶色。名前の通り落ち葉みたいな色です。
自分の目で見たい方は
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 140人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
日高ナツメ(プロフ) - mo4さん» ありがとうごさいます！とりあえず完結させられました・・・ (2019年12月29日 6時) (
レス) id: a414d96f78 (このIDを非表示/違反報告)
mo4 - お疲れ様でした! (2019年12月28日 22時) (レス) id: c8f50611df (このIDを非表示/違反報告)
日高ナツメ(プロフ) - aityandao824さん» ありがとうございます！！思いついたら短編っぽく入れてみようかな・・・考えてみます。そこまで期待せずにお待ちくださいっ！ (2019年12月27日 22時) (レス) id: 7897dbe3ea (このIDを非表示/違反報告)
aityandao824(プロフ) - お疲れ様でした！時々でもいいのでネタ話や間の話など投稿して頂きたいです！ (2019年12月27日 22時) (レス) id: b8cadeac1b (このIDを非表示/違反報告)
日高ナツメ(プロフ) - おにぎりさん» わぁぁぁぁぁコメントありがとうございます！！返信遅れて申し訳ない・・・楽しみに待っていてください！ (2019年12月17日 14時) (レス) id: 7897dbe3ea (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
