36人目 ページ2
小さな小屋の前に立った彼女は、ポストから紙が溢れているのを見てはぁ、とため息をつく。
自分の家は教えていないはずなのに、依頼者たちは一体何処から情報を仕入れてくるのだろうか。
しばらく呆然と突っ立っていた彼女はもう一度深いため息をつくと、ポストから何枚もの紙を取り出し、家の中へ入っていった。
机の上に乱雑に紙を置き、棚からファイルを取り出して丁寧に入れていく。
白いファイルが少し分厚くなった。
それを彼女は心底つまらなそうに眺める。
『Ｄ国の国王を暗殺してくれ』
『ｆ国にいる私の夫、ルアージュ・ルイを暗殺してください。』
『Ｒ国のメイル大佐の暗殺を依頼する。』
そんな文章が並べられた。
ポストにはまだ大量の金貨や星のかけらをはじめとする非常に珍しい鉱石などが残っている。
彼女は金など望んでいなかった。
彼らとまだ笑いあっていられれば、どんなに幸せだろう。
仲間がいるという「幸せ」を知ってしまった彼女は、「幸せ」ではないこの状況が嫌だった。
しかし、それも自分のせいなのである。
我々国で反乱がおこったのも、幹部らに大怪我をさせたのも、すべて自分が原因なのである。
その事実があることは、彼女を苦しめた。
自分がいなければ、あのような騒動は起こらなかっただろう。
自分がいなければ、彼らにあのような大怪我をさせることはなかっただろう。
自分がいなければ、あんなにたくさんの兵士を殺すことはなかっただろう。
自分は総統を殺しかけたのである。
あの時ビオラが現れなかったら、グルッペンを殺していた。
自分の力が抑えられないというのは、ここまで人を追い詰めるのである。
椅子の背もたれに寄り掛かった彼女は、今日何度目かのため息をつき、髪をぐしゃぐしゃっとかいてファイルを眺めた。
一つの紙をファイルから出し、依頼者に一言だけ伝えて小屋から出る。
彼女は再び「妖狐の暗殺者」になった。
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日高ナツメ(プロフ) - mo4さん» ありがとうごさいます！とりあえず完結させられました・・・ (2019年12月29日 6時) (
レス) id: a414d96f78 (このIDを非表示/違反報告)
mo4 - お疲れ様でした! (2019年12月28日 22時) (レス) id: c8f50611df (このIDを非表示/違反報告)
日高ナツメ(プロフ) - aityandao824さん» ありがとうございます！！思いついたら短編っぽく入れてみようかな・・・考えてみます。そこまで期待せずにお待ちくださいっ！ (2019年12月27日 22時) (レス) id: 7897dbe3ea (このIDを非表示/違反報告)
aityandao824(プロフ) - お疲れ様でした！時々でもいいのでネタ話や間の話など投稿して頂きたいです！ (2019年12月27日 22時) (レス) id: b8cadeac1b (このIDを非表示/違反報告)
日高ナツメ(プロフ) - おにぎりさん» わぁぁぁぁぁコメントありがとうございます！！返信遅れて申し訳ない・・・楽しみに待っていてください！ (2019年12月17日 14時) (レス) id: 7897dbe3ea (このIDを非表示/違反報告)
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