Silent conversation ページ31
Aside
黒く艶やかなロングヘア。
私達のとは違う、どこか高貴な制服。清楚な振る舞い。
「は？ 倒れた？」
隣の西谷先輩がそう聞き返す。
「おい白木、それってやべーんじゃね……」
私を振り返った先輩は、なにかを察したのか、そこで黙った。
変わりに影山が口を開く。
「さっきこいつから聞いたけど、なんかヤバイみたいだぞ。病院行った方がい……」
ドサッ、と私は鞄を落下させた。
意外と大きな音がして、ざわめきが消える。
少し焦った口調だった影山が、驚いて黙る。
『なにも出来ない貴女は、この家にいらないわ』
私はその女を睨んだ。
「嫌味？」
たった一言、それだけ言う。
その女は悲痛な感じに息を飲む。
「あと、その呼び方吐き気がするからやめて」
周りの人たちが、驚くのが息遣いでわかった。
私は踵を返して体育館から出た。
キャプテンの「白木！？」と言う声と、みんなのどよめき。
それと、「お姉ちゃん！」という、吐き気のする女の声が聞こえた。
◇◆◇◆◇◆◇
月島side
『探してきます』
柄にもないことを言ったと、自分で思った。
体育館裏。
そこに、壁を背にして座り込み、空をガンつけている金髪がいた。
僕は黙ったまま、その隣で足を止めた。
「……戻らないから」
視線を僕に向けることなくそう言う。
「……まだなにも言ってないんだけど」
僕は立ったまま、白木に視線を向けずに答えた。
それから沈黙になったので、随分低いところで座る白木を見た。
いつの間にか、膝を抱えて体育座りをし、膝に顔をうずめていた。
「黙れ」
くぐもった声が聞こえた。
「……まだなにも言ってないんだけど」
僕は同じセリフを繰り返した。
「言おうとしてた。わかった」
息を吸う音でも聞こえたんだろうか。……そんな微かな音も聞こえてしまうほど、神経質になっているのだろうか。
顔をうずめて上げない小さな体と同じ大きさになるために、僕も腰を下ろした。
それでもまだ僕の方が大きい。
体育館の影のせいで、コンクリは湿っている。
ふわっ、と匂いがした。
金髪に触れたら、匂いがした。
制汗剤か何かの、人工的な匂いがした。
僕はあんまり好きじゃない。あれをいい香りだと思っているのは、開発者と、着けている本人たちだけだと思う。
ぽん、ぽん、とあやすように頭を軽く叩いた。
僕も白木も、なにも言わなかった。
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奈佑(元夕凪)(プロフ) - にゃん舞姫さん» そうだったんですか！ ありがとうございます！ 更新頑張りますねo(*ﾟ▽ﾟ*)o (2014年8月24日 19時) (
レス) id: 78899c0a0a (このIDを非表示/違反報告)
にゃん舞姫(プロフ) - 奈佑(元夕凪)さん» O華ちゃんに面白いんだって聞いて、即行読ませていただいた所存です!!ｗ次話も読ませてもらってます！ (2014年8月24日 14時) (レス) id: 6917ab7c4b (このIDを非表示/違反報告)
奈佑(元夕凪)(プロフ) - にゃん舞姫さん» そう言っていただけると嬉しいです(T ^ T) 私には勿体無い言葉ばかりで……。もっともっと頑張ります！ 更新頑張ります！ (2014年8月24日 14時) (レス) id: 78899c0a0a (このIDを非表示/違反報告)
にゃん舞姫(プロフ) - とっても素敵なお話です!!主人公ちゃんも凄く好きです＞＜文才だけでなく絵まで上手だ何て!!憧れます＞＜ (2014年8月24日 14時) (レス) id: 6917ab7c4b (このIDを非表示/違反報告)
奈佑(元夕凪)(プロフ) - コトノハさん» 何回も読み直してくださったなんて、嬉しいです！ ありがとうございます！ 更新頑張ります(*^◯^*) (2014年8月6日 21時) (レス) id: 78899c0a0a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夕凪
| 作成日時：2014年7月10日 21時
