構いたくなる変な奴

悪いのはどっち。 ページ16

「人は違うものさ。同じ物差しでは到底図ることは不可能なんだ。


例えば、水は定規で測れないし、反対に、定規で誤差のない数字なんて求められないだろう？

人も同じ。
君が当然だと思っている世界は他の人の世界では通用しないのだよ。

中也君も、太宰君も、紅葉君も、勿論エリスちゃんや私もね。」




『なら.....何で森さんは、私を判ってくれるの..？』

「それは時間が解決してくれる。..殆どの場合はね。

時間が経てば新しい事を人は考えて、そのおかげで今日も世界は回っている。
時間を共にして、相手の事や自分の事を理解すれば少しは形を変えてみるのさ。


自分も、相手も。
それを繰り返していく内に、君達は相手が如何すれば喜んで、怒って、泣いて、悲しむのかが分かってくる。


全てを理解なんて出来る人間はいないから、
お互いに少しだけ譲歩する。



君達はその真っ最中なだけだよ。
辛いかもしれない。でも、相談にだけは乗ってあげられるから。もう少し待って見て御覧。」




「きっと次に目を開けた時には、今までと違った様に世界が変わっているよ。」
森さんは昔から、私を守ってくれる。


自分を消そうとするジブンから。

君には判らない、理解できない、何も考えてない、それも全部..私が逃げるための言葉で。





＿＿＿＿＿＿「人は同じ物差しでは到底図れない。」


その言葉は砂漠に一滴の水を垂らしたように、私の心に染み込んだ。

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