お呼びですか、お嬢様？【太宰治】

太宰さんの忘れ物 ページ7

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みんな教室に戻った後の、
誰もいない廊下。

視線の先にはコツコツと静かに歩く太宰さんが。




『太宰さんッ…忘れ物だよ……ッ』


後を追いかけてきた私に気付いたのか、彼がこちらを向く。






……と同時に彼の胸元に飛び込んだ。



はぁはぁと息切れが続く背中を そっとさすってくれる。






「 如何したの？ 忘れ物なら今さっき…… 」



『ッ違う．．．』





あれから太宰さんは、
私を起こしにくると毎朝決まって…


＿＿＿＿＿...「 おはよ、A 」


そう云って頬に接吻をしてくれるようになった。



でも、今日の私は朝早く起きてしまったから……してないんだよ。





だから、








『 “おはようの接吻” の忘れ物、届けにきた 』








其れは、廊下に小さく響いた。


唇を離すと目を丸くして動揺する太宰さんの姿があった。




「お腹空いたし、教室に戻るね」



赤く染まった顔を隠すように教室に逃げようとする、その前に。


太宰さんの普段見れない顔を見れたし、

彼に一泡吹かせてやった…と満足げに笑ったら。








「 ふふ、私も丁度お腹が空いていてねぇ 」





どうやら狼さんのスイッチを入れてしまったらしくて。

逃げる暇もなく彼の腕の中に捕らえられてしまった。





「 ……いただきます 」





捕らえられた哀れな仔兎は、パクリと一口に食べられた。

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