高く飛んだその後 (ページ4)

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｢俄然Aちゃんに興味湧いてきたわ。
1回ちゃんと話してみたいなぁ。｣

｢ダメだ。Aに悪い虫は近寄らせない。｣

と、侑さんに片手を突き出し拒否したのは衛輔さんだ。

｢そうそう、わぁっ綺麗な光やなぁ！ブーン……って誰が悪い虫やねん！！｣

｢どっからどう見てもいい虫ではないやろ。｣

｢は！？俺はどっからどう見ても綺麗な蝶やろ！！」

「光に寄っていくんは蛾や。」

「〜っ、うるさいねん！アランくんのアホ！もうどっかいって！！｣

｢いやお前が連れてきたんやし、お前の方がうるさいで。｣

練習終わりなのに、アランさんとテンポのいい掛け合いを見せる侑さんは元気だ。おれも見習って体力つけなきゃな！
わいわいと騒がしい更衣室も、徐々に人は減っていく。影山は既に着替えを終えたみたいだけど、さっきから何やらスマホをいじっている。
侑さんたちは一旦落ち着いたようで、いそいそと着替えを始めた。

｢でもAちゃんふつーに可愛いし、天内ちゃんとの新山女子コンビは結構人気やん？｣

その時、初めて影山がピクリと反応した。
スマホを打つ手が止まり、明らかに聞き耳を立てているのがわかる。

｢らしいよなぁ。オカンとしては心配だぜ。｣

｢男バレとか関係者とか、悪い虫ぎょうさんおるやろ。どないするん。｣

｢熱心なファンもいるだろうしな。ボディガード必要かもな。｣

｢物騒な世の中やで。｣

なんていう侑さんと衛輔さんの会話を聞きながら、おれの目は影山を捉えている。
すると、ふいに影山の手が動いてスマホを操作し始めた。何やらメッセージを送っているようだ。
そして、いつもは準備が出来たらすぐ帰るクセに、今日はそうではないらしい。
更衣室内のベンチに腰掛け、そのまま時間を潰し始めた。