高く飛んだその後 (ページ15)

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思わずトン、と拳を机に起きながら抗議するけど、飛雄くんは飄々としてご飯を食べている。
そんな飛雄くんに少し仕返しをしたい気持ちになって、そして単純な報告としても伝えたいことがあって。満を持して私は姿勢を正した。

「そういえばこの間の撮影スタジオでたまたまリエーフくんに会ったんだよ。」

「そうか。」

「それで、久々に来週ご飯行かないかって。」

「2人でか？」

「……うん。」

さぁどう出る飛雄くん。ぐるぐるぐるぐる考えてくれるのか。
飛雄くんが意外と嫉妬深いということは美羽さんや日向くんから聞いている。確かに今言われて思い返してみれば、学生時代から飛雄くんはよく何か言いたげな表情をしていた。
それは私が仲良くしている男の人の話をするときが多くて、でもそんなことでモヤモヤしている自分を認めたくなかったんだと思う。
それに気づいてからはこういった話を避けるようにはしていたけれど、今回は仕返しの意図を込めて思い切って話してみた。
ちなみに、まだ私たちの交際は表には出ていない。

「……」

2人きりではなく、本当は夜久さんや日向くん、研磨さんも一緒の予定なんだけど。
おかずを口に入れて飛雄くんの様子を伺う。

「わかった。」

でも、飛雄くんは相変わらずのポーカーフェイスのまま、私の報告を受け止めた。
おや、と拍子抜けして、ご飯に目線を落とす飛雄くんを覗き見る。

「……なんだよ。」

「……」

私の視線を感じ顔を上げてもやっぱり顔色は変わっていない。
なんだか少しだけショックで、ついと唇が尖った。

「やきもち焼いてくれるかと思ったんだけど……」

「焼いて欲しかったのかよ」

「……うん。」

言いながら、少し面倒な女過ぎただろうか。と心配になった。
私の様子を見て僅かに眉間にシワを寄せた飛雄くんは、ガシガシと頭を搔いて視線を逸らす。
それから小さく口を開いて、

「お前が言ったんだろ。『誰に何を言われても俺が好きなのは変わらない』って。
だからもう心配はしてねぇよ。」

そう言ってから、少しずつ飛雄くんの顔が赤くなっていく。
その言葉や様子が嬉しくて、愛しくて。私は思わず吹き出した。
笑ってんじゃねぇぞ。とムッとする飛雄くんに謝りながら口にしたご飯は、なんだかさっきよりも美味しく感じた。