29話 ページ30
『へえ、緑谷が。』
あの後焦凍と普通に話し、焦凍が私に向けている嫌悪感も薄まっていた。
焦凍｢…まだ、どうすりゃ良いのかわかんなくて、悩んでる。｣
『何を悩む必要があんだよ。言っとくけどオマエの左側の個性は世間ではNo.2と呼ばれている男と同じ個性なんだぞ。
家の中ではクソだけどな。』
焦凍｢…ビックリした。アンタ、お父さんのこと全部肯定する奴だと思ってた。｣
『さすがにねえよ。過去が過去だ。許せる許せないと次元じゃない。』
焦凍｢…俺、勘違いしてた、みたいだ。勘違いして、姉さんに強く当たった…｣
『やめろ気色悪い。』
焦凍｢…そういうとこだぞ。｣
強く当たられてるだなんて思ってないし、焦凍が私に対する態度は普通だと思った。
『焦凍は私を憎むべきだ。見ていたのにあの人を止められず、なんなら家庭まで崩壊したのをただ見てただけだったからな。
1番、私が近くに居たのにな。』
焦凍｢…やめてくれ。そう言われたら、憎めなくなる。｣
『私は相変わらずオマエのことが嫌いだ。過去のことズルズルズルズル引きずって、反抗期真っ只中のクソガキだ。
なのに実力はあるし、お父さんはオマエから目を離さないし、あの親を持って嫌ってるクセにヒーローは目指そうとしてんだ。
あー腹立つ！！何なんだよオマエ！！あの親父の息子だろ！？ヒーローはクソだって諦めとけよ！！』
焦凍｢………言ってることめちゃくちゃだぞ。｣
『オマエがヒーローなんか目指さなきゃお父さんはオマエを諦めて私を見てたかもしれないしな！！』
焦凍｢…俺は、オールマイトに憧れた。｣
『はァ？あんな自己犠牲の塊のどこに憧れんだよ。』
焦凍｢オールマイト嫌いなのか？｣
『総合的には嫌いじゃねえけど。でも嫌いなところは割と浮かんでくる。自己犠牲は勿論、時間は守らない、仕事できない、説明は下手くそ、老眼…』
焦凍｢老眼は仕方ねえと思うぞ。｣
私は大きくため息を吐き、焦凍の布団に寝っ転がる。
『…私は焦凍が嫌いだ。』
焦凍｢何回も聞いた。｣
『それでも、ずっと後悔してたんだよ。』
焦凍｢？｣
『…お父さん止められないで、焦凍が辛そうだったのに何も声をかけないで、お母さんの精神まで壊しちまった。
私が動いてりゃ止められたかもしれないことだった。』
私は起き上がり、右手で焦凍の頬に触れた。
『謝って済むことじゃないが、悪かった。』
すっと出たその言葉で私の体は勝手に少し軽くなってしまった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1007人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
えむ.(プロフ) - いつも素敵な作品ありがとうございます！公開する話、間違えてませんか？34話から38話に飛んでますよ！ (2023年2月16日 17時) (
レス) id: 2303707e13 (このIDを非表示/違反報告)
りんご(プロフ) - 最高です＞_＜♡めちゃハマりました更新待ってます❤️🔥❤️🔥 (2023年2月13日 17時) (レス) @page35 id: 8b4cfe6f33 (このIDを非表示/違反報告)
柳 - プレゼントマイク好きすぎる！ (2023年2月11日 18時) (レス) @page34 id: 24b8fbf003 (このIDを非表示/違反報告)
神無(プロフ) - すごい好きです！大好きです！！！なーーさん、これからも更新待ってます！！ (2023年2月11日 9時) (レス) @page32 id: 7184837e82 (このIDを非表示/違反報告)
リリ - 続き全裸期待してます！！ (2023年2月7日 12時) (レス) @page28 id: 59202c5c61 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：なーー | 作成日時：2022年12月28日 16時
