友人4人と俺の話 (ページ20)

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第15話ページ20

「つー事があったの！さっき！」
「んん…喧嘩はええんやけどさあ…寝かせてぇ…」

今日は勿論TOP4の撮影ではなかった為、各々の時間を過ごし無駄な夜更かしはしないと眠っていたレトルト。
電話の向こうでプンスカ怒るキヨを適当に宥めて、話半分で耳を傾ける。

「ていうか、きよくんが喧嘩って珍しいやん」
「Aとは割と喧嘩するよ。大体口喧嘩で軽いけど」

「性格似てるからぶつかっちゃうんだよね」と照れくさそうに笑う。
聞いてないよと言いつつ、彼氏と喧嘩して女友達から電話で愚痴を聞かされている気分だなと少し冷静になる。女友達なんて居ないが。

「で、何なの。愚痴言うだけなの」
「え？うん、だってほかの2人寝てるでしょ？」
「俺も寝てたんだよ、普通はこの時間寝るの。お前と一緒にすんな」

「そんなに気になるなら戻って謝れば」と不機嫌に聞こえる声に、キヨは家に向かっていた足を止める。
10年以上の付き合いで、本当に弱っている時に素直になれないのはお互い様なのを知っている筈だ。
あの時吐いた言葉だって、熱で頭がおかしくなっていただけで本気じゃない事ぐらいわかっている。
電話の向こうから聞こえた寝息に我に返り、起こさないようにレトルトにお礼を言って通話を終えた。

「鍵開いてっかな〜」

24時間営業のスーパーに寄って、自分のとAの諸々を購入してAの家へ戻ってきた。
やはりドアの鍵は閉める気力さえなかったのか開いていたが、玄関に見知った靴があった。

「何やってんのお前」
「ん？なーんだ帰ってきたの？」
「まぁ…ちょっと出てただけだし」

撮影後一度帰宅したのだが、気になってやって来たフジと会話をしながら購入品を冷蔵庫にしまっていく。

「キヨとAの事だから喧嘩してんじゃないかな〜って思って来たのに」
「大きなお世話だっつーの」
「あり？家出してたんしょ？」
「誰が家出だ」
「どっちでもいいけどさ、病人なんだから優しくしてやんなね」

母親の如く色々と言ってくるフジにイライラしつつも、見慣れないタッパーが冷蔵庫の中にある事に気付いて手に取った。

「あ、それお粥。作ってくれてさ、持ってけって」
「…ふぅん。お礼言っといて」
「うん。じゃ、朝それ食べてから薬飲ましてね」

「帰るわ」とさっさと出ていったフジを見送って、リビングに戻ってふと気付く。

「泊まることバレてんのかよ」