第2話 ページ2
『そーいやさ』
レース後、しっかり5回目の1位を取って終了の流れを撮り、各々が録画ボタンを止めると、唐突にAが口を開いた。
『俺、仕事辞める予定』
「マジ!?」
『うん。あんな近くで身内の話されたら流石に居続けるのは怖いでしょ』
「顔バレ怖いし」と悪戯にキヨの方を見ると、鬱陶しそうな表情で「顔晒せ」と悪態をついた。
本当はこんな風に改めて言うつもりは無かったが、メンバーがAの忙しさを心配しているならこういう発表の仕方もいいだろう。
『住んでる家も同僚で知ってる人居るから引っ越す』
「めちゃめちゃ徹底するじゃん」
『関係を切るなら念には念をね?』
「マジでAもキヨと一緒だもんな。鎖国実況者」
『いやぁ、あぁいうあっさい関係の人間なんて手の平くるくるですから』
「うん。人ってマジで信じない方がいいよ」
「こっわ。何されたんだよお前らマジで」
『それでさ』と言葉を続ける。
今度は少し真面目な声色だ。
『今までまぁ…顔全部隠してたじゃん』
「うん」
『マスクでいっかなって』
「やっぱり顔出し?」
『
「指差すなやめろ」
今までは会社の事があり、フジのように顔全体を隠して人前に出ていたが、ネット活動のみになるこれからは、もう少しラフになりたいと話した。
『こーすけみたいにかっこよくないから全部ってのが出来ないけど』
「恥ずかしいボケすんな、ほんとのオフで」
「そうだ。こーすけは"かわちい"だ」
「キモいってそれも」
会社を辞めて改めて実況者としての準備に入るため、1ヶ月ほど活動は休むとも報告した。
4人は「おっけ〜」と緩く返事をして、復帰動画は何にする?等と雑談をし始める。
そんなメンバーに気が早いとツッコミを入れて、その日は解散になった。
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作者名:憐 | 作成日時:2023年8月18日 13時