群青のヒロイン (ページ42)

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42.一緒に寝ていいですか？ページ42

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永瀬廉side

「せんぱい、せんぱい」

頼りない声と共に体を優しく揺さぶられ、目が覚めた。

若干朦朧とした意識のなか振り返ると、Aが捨てられた子犬のような顔で俺を見ていた。

「…んん？なんや…夜中に」

瞼を擦りながら鬱陶しそうに呟くが、返事が返ってこない。

Aに再び視線をやれば、今度はエサをもらえなかった子犬のような顔で俯いていた。

何も言わず、俺の布団をぎゅっと握りしめる。

「…嫌な夢でも見たんか？」

黙ってうなずく。

…さて、どうしたものか。

俺はとりあえず布団から起き上がった。

「…何か、暖かいもん飲むか？」

次は首を振った。

その返答になんて言葉を掛けようかと悩んでいたら、Aの方からボソリと声を発した。

「…あ、ごめんなさい。何でもないです。ちょっと怖い夢見ちゃって…。部屋戻りますね」

目も合わせずに淡々と言い切ると静かに俺から離れていく。

俺はそんなAの腕を引き留めるよう掴んだ。

「A」

「…はい」

「俺の部屋で寝るか？」

一人が怖い。そんな様子のように思えた。

俺の部屋に布団を持ってきて隣で寝ればいい。そう思って俺は言ったのだが

Aは相変わらず俯いたままでこう言った。

「一緒に寝ていいですか？」

聞いたことも無いくらい小さな声。今にも消え入りそうだ。

こいつ本当にAか？

「一緒にって…俺の、布団？」

少し、いやかなりどもった口調になった。

そりゃそうだ。

いきなりそんなこと言われたら動揺だってする。

「うん」

「…Aがいいなら、別にええけど」