群青のヒロイン (ページ28)

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28.好きにしたらええやろページ28

神宮寺勇太side

「やっほ。廉」

右手を軽く上げニヤついた顔を見せれば、分かりやすく嫌な顔をした廉。

隣に居る子は例のあの子だ。

あまりちゃんと顔を見たことが無かったが、こうやってしっかり近くで見ると結構可愛い顔をしていた。

ふーん。この子が廉の悩みの種か。

「勇太…何しに来たんや」

「何しにって買い物だよー」

廉はAちゃんに裏に行くよう指示し、俺のとこまで歩いてきた。

「俺はAちゃんと話したかったんだけどなー」

「はぁ、からかいに来たんか」

「まぁまぁ怒んなって。過保護だなぁー廉は」

「やからそんなんやないって…」

さっきからため息ばっかの廉。そんな廉に、ほんの少し鎌をかけてみたくなった。

俺はじっと廉の反応をうかがいながら続けた。

「結構可愛いじゃん。あれは彼氏居ても違和感ないわ」

「そうか？」

”そうか？”と答えるということは、廉も彼氏の存在は謎なんだろう。

モテるくせに恋愛に対して初心ってどういうことだよ。

「もし彼氏居ないんなら、俺狙おうかな」

「…俺にわざわざ報告せんで好きにしたらええやろ」

ほんの一瞬、廉の表情が強張ったのを俺は見逃さなかった。

廉の言う通り、好きにさせてもらおうかな。