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11.肩すかし ページ11
「――で、ここのボタン押したらおつり出てくるから。俺が一回やるから見とき」
『了解っす』
相変わらず不愛想ではあるが、仕事は案外丁寧に教えてくれた。
まあ、だからと言っては変わらないが。
それにしても、非の打ちどころのないイケメンだ。
綺麗な二重線に透き通った茶色い瞳、下から見上げた喉ぼとけすら完璧だ。
それに加えてこの身長。学校の王子様なんて漫画のような異名すらこの人には似つかわしい。
「で、お釣りとレシート渡して終わり。わかったか？」
「あっはい」
「……ほんまに聞いとったんやろうな」
「はい！」
８割はね
「じゃあとりあえず分かからんことあったらすぐ聞け。俺トイレ清掃行ってくるから」
「はい！」
不思議と、気まずさは無かった。
私がこんな楽観的な性格というのもあるだろうが、永瀬先輩も思ったほど嫌味な感じでもなかった。
「いらっしゃいませー！」
よし、今度こそやっていけそうだ。
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作者名：しお
| 作成日時：2019年8月8日 18時
