群青のヒロイン (ページ12)

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12.微笑と宇宙人ページ12

レジの接客も数回こなせば慣れてきた。同じことを繰り返すだけなのであまり難しいものでもなかった。

「いらっしゃいませー。お預かりいたします。」

お客さんの持ってきた買い物カゴを見て、思わずフリーズした。

…なんだよこの大量のうまい棒は。

なに！？うまい棒パーティでもすんの！？

店に並んでるぶん全部もぎ取っただろこれ！

「…十円がいってーん、にてーん、さんてーん」

まじかよ、と心の中で嘆きつつも地道に一品ずつバーコードをスキャンする。

いつ終わるんだこれ。

ポカンと口をだらしなく開けたまま無機質な音と共にスキャンを繰り返していると、トイレ清掃から舞い戻った救世主、永瀬先輩が帰ってきた。

永瀬先輩はレジの現状を見ると、「あーね」というよう表情を変え、「代わるわ」と私と選手交代した。

.

「――――うまい棒とかってたくさんあったら全部バーコード読むの大変やろ？」

「そうですね」

上手い棒を大量買いしたお客さんが帰った後、永瀬先輩は私を手招きした。

「そういうときはここ押して、数字を登録すんねん」

「あ、すごい便利！」

「やろ？」

レジ画面から永瀬先輩の顔に視線を移して、私は一瞬うろたえた。

…この人って、笑うとこんなに柔らかい表情になるんだ。

「…なんや、宇宙人でも見たような顔してんで」

「あっいえ！」

あんな完璧すぎる微笑を見せられると、宇宙人なんて珍しくないのかもなんて思えてきた。