恋はやがて泡になる。【灰谷蘭】 (ページ23)

今日:1 hit、昨日:7 hit、合計:39,574 hit

23.傷の真相ページ23

.

多分、今まで女を虫けら同然に扱ってきた罰だ。

誰かに対して嫉妬するなんて初めてだった。

俺は、こんなにもガキだったのか。

ただ自分だけ仲間外れにされて拗ねたガキじゃん。

竜胆「…おかえり」

知らない女と寝たその足で家まで帰ると、竜胆が俺を見るなり眉をひそめた。

竜胆「兄ちゃん、本気であの子手放すつもりかよ」

蘭「うるせぇ。」

竜胆「タバコ捨てろ。」

右手に取っていたタバコを竜胆が奪う。

俺はまた一つタバコを取り出すと、今度は箱ごと奪われてしまった。

竜胆「話聞けよ!!」

俺は思わず固まった。

竜胆が俺に声を上げるなんて今までになかった。

蘭「…なんだよ」

竜胆「あの子…Aちゃん、兄貴が居るんだよ。血の繋がった。」

兄貴…？

そんなの俺、聞いてない。だってアイツひとりっこだって…

……あぁそうか。里親の新しい方の家で、ひとりっこだったのか。

竜胆「その血の繋がった兄貴に定期的に呼び出されては暴行されてたんだ。」

蘭「………は？」

竜胆「それで一回妊娠して、その後強引に流産させられたらしい。」

放心状態の俺を置き去りに、竜胆は話を続けた。

竜胆「兄ちゃんに嫌われたくなくて、言い出せなかったって。」

そう言った後に、竜胆が俺に何かを差し出してきた。

ボーっとする頭で竜胆の手の平に視線をやれば、

そこにはドロドロに溶けた黄色い飴があった。

これは…