41.私の仕事 ページ44
”実力が足りないから私がキンプリに異動した”
瑞稀は、ずっとそう思ってたの?
だから自分の実力を責めて、体に鞭打ってこんなにボロボロになるまで練習したの?
「…違う、それ…違うよ」
瑞稀がどんな思いでいたか。
そんなの、少し考えればわかるはずだ。小さい頃からずっと一緒だったんだから。
だけどそれでも私は、キンプリの6人のもとへ帰れることが嬉しかったんだ。
………帰る?
嗚呼、そうか。私はもうきっと
「瑞稀。あのね、聞いてほしい。」
声をかけても俯いたままだったが、私は続けた。
「私ね、ジャニーさんが居なくなっちゃって…それから、私の居場所が無くなったように感じちゃったの。
私の帰る場所は、いつだってジャニーズだった筈なのに、そうじゃなくなったみたいでね。
ずっと…仕事をしていても、まるで別の場所みたいで、地に足がついていないみたいで、
少し怖かった。」
もしかしたら、瑞稀はそんな私に気付いていたかもしれない。
瑞稀の頬には、涙が伝っていた。
あのスキャンダルからずっと、瑞稀は悩み続けていたんだ。
「でもね、キンプリの6人にまた就いたときにね。
”戻ってきた”って、”帰ってきた”ってそう思えたんだ。自分でも…うまく言えないんだけどね。
キンプリは、私の原点なんだ。初めてMr.KINGっていう一つのグループを任されて、それから切磋琢磨してきた。一緒に成長してきた。家族みたいなものなの。」
どれだけ実力のあるグループに私が就いたとしても、私の原点はキンプリであって、それは唯一無二だ。
「確かに私は、色んなライブの演出だったり、メンバー個人の魅せ方にアドバイスをしたりする。
けどそれは、実力の底上げをしてるわけじゃない。実力を底上げは本人しかできない。」
プロデューサーの奄三Aがいるからスターになれるんじゃない。
切磋琢磨する人が居るから、実力が磨かれるんだ。
瑞稀は自分の涙を乱暴に拭うと、「ありがと」と小さくつぶやいた。
「…明日、病院行こ。一緒に行くから」
瑞稀「いいよ別に。」
「行くの。」
瑞稀「…あっそ」
フッと笑った瑞稀の顔は、どこか吹っ切れていて
私もその顔を見て口が緩んだ。
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naaaa(プロフ) - ありがとうございます!!!リクエストに答えていただいてとても嬉しいです!瑞稀くんとの傷だらけのシーン大好きだったのでまた見れて嬉しいです!続きも気になります。これからもしおさんのペースで頑張ってください。 (2020年3月27日 21時) (レス) id: e304a8e434 (このIDを非表示/違反報告)
ふかきょん - 一番最初のシリーズから拝見しています、更新楽しみにしてます! (2020年3月17日 15時) (レス) id: fbb0432563 (このIDを非表示/違反報告)
しろちゃん(プロフ) - Mr.KING時代から見てたので復活とても嬉しいです!HiHiの時に学校の友達に制服をいじられてHIBメンバーが戸惑ってるのが大好きだったのでキンプリVer.も見たいです!これからもずっとずっと大好きです!しおさんのスピードで頑張ってください! (2020年3月6日 12時) (レス) id: 866c2b5330 (このIDを非表示/違反報告)
maaaarin(プロフ) - 初めてこのお話を読ませて頂きました!ぜひ前に連載されていたビジネス少女のお話も読みたいです。よかったら載せてもらうことは可能でしょうか? (2020年3月3日 18時) (レス) id: ccb8a20b1f (このIDを非表示/違反報告)
めろん - ビジネス少女の復活とっても嬉しいです!KINGの時の最初のお話からずっと大好きな作品です!!これからも楽しみにしてます。 (2020年3月1日 23時) (レス) id: c07d759168 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しお | 作成日時:2019年4月17日 19時