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飽きたらず 沖田side ページ44

…机に広げた書類と向き合って、それを睨み付けながらに殴り書きで文字を記して、時折それに向かって言うように文句を溢していた。大体が土方さんに関する文句であった。『なんで死んでくんねェんでィ』『さっさと永遠の眠りについてくれ土方よォ』というような。文句と言うよりは、ほとんどうわ言のようなことだった。まぁ、それを語りかけているのは書類であり、そんなのは深い穴に向かって言っているのと変わらない。誰にも迷惑をかけていないのだから、俺としては頑張った方だろうと思う。何度か書類をビリビリに破ってしまいたい衝動に激しく駈られたものの、それではAは眉間を摘まむことになるだろう。休ませた意味がなくなってしまう。そんな衝動をグッと堪え、土方さんへの悪口だけで済ませておいた。

…というわけで、それなりに俺は疲労しているのだった。Aのために働いたようなものだからそれほど苦痛ではないけれど。これがもし土方さんに言い付けられた始末書だったりしたら最高に胸くそ悪かっただろう。これ以上ないくらいに。それを思うと断然ましであった。


…畳にあぐらをかいて座っていた体勢から、俺はどさりと布団に寝転がった。夕飯は済ませたし、風呂にも入ったし、後はもう眠るだけだ。やるべきことは何もない。まだ眠る時間には少し早いけれど、疲れているし寝てしまってもいいかもしれない。


そんなことを思いながら、一方で思い出す。今日のAのことだ。ぼんやりと書類の一点を見つめて、上の空で居たAのことを。仕事中に、Aがあんなにも集中できていないところを見ることはそうそうない。俺がAに告白してから少しの間は、俺が少し動いたりするとビクッと反応して、集中力が欠けていたようだけれど、それとはまた違った様子だった。

…疲れていると言われても頷ける。けれど、何か、考え事をしている風にも思えた。俺は、恐らくは後者なのではないかと思っている。タイミング的にも、間違いないだろう。


天井を眺めながら、ポツリと俺は呟く。


「…討ち入り」


と、その時だった。突如閉められていた襖が無遠慮に開け放たれたのだ。


「まだ起きてるか」

「…土方さんアンタ、遂に健康な肺だけでは飽きたらず礼儀までなくしちまいやしたかィ」


襖を開け、顔を見せたのはまだ隊服姿のままの土方さんであった。声をかけることもなくノックをすることもなく無言で人の部屋の襖を開けるだなんて、とんだ礼儀知らずだ。そんな礼儀知らずに副長は務まらないだろう、俺に変われ。

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設定タグ:銀魂 , 沖田総悟   
作品ジャンル:アニメ
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乙愛 - なんて可愛い反則技だろう…… (2019年2月28日 23時) (レス) id: 6dafc5383a (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - 白桃餅子さん» テストがあったんてすね、お疲れ様です(*^^*) 癒しになれたなら嬉しいです!ここ最近スランプのようなものに悩まされて頭を抱えておりますが、頑張らせて頂きますので、お楽しみくださいね! (2018年6月7日 23時) (レス) id: f6c7f9fb7e (このIDを非表示/違反報告)
白桃餅子 - テスト明けに来たらノックアウトされました(笑)いやあ、さすがですね。文才欲しいですわ……。沖田くん最高ですな! 続きも頑張ってください! (2018年6月2日 22時) (レス) id: 7a0c5e56cd (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - 姫さん» 姫さん!ありがとうございます!!わ、私の作品で…銀魂を好きに…!!感涙です!!!この小説を切っ掛けに銀魂を好きになってくれたら嬉しいです!!キュンキュン沖田さんをこれからも書いていきますので、お楽しみいただけたらと思います!!頑張らせて頂きます! (2018年6月1日 0時) (レス) id: f6c7f9fb7e (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 最近この小説の事を知り、銀魂は知らなかったのですが好きになりました!読む度に沖田さんにキュンキュンさせられてます!続き楽しみに待ってます。 (2018年5月27日 6時) (レス) id: ce80cc2f9a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ピピコ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/pipiko1030/  
作成日時:2018年5月3日 20時

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