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距離感 ページ37

「…真選組の人間として。一番隊の一員として、皆さんと一緒に戦いたいと、ずっと思っています」


…言葉にすることを躊躇っていた言葉を声に出すのは、やはりどの道勇気を必要とすることだった。自分にとって大切なことを話すということは、きっとそういうものなのだろう。そう副長に口にしてはいるものの、微かに声が震えていることを私は自覚していた。そしてきっと、副長もそれに気付いているだろう。私が緊張していることも。沖田隊長もだけれど、真選組の人達は他人の様子の変化に鋭い。戦いにおいて、それは重要な能力であり、なくてはならないものなのだろう。沖田隊長と共に第一線で戦場を駆け抜けている副長が、私の変化に気付かない訳がなかった。そのことを認識しては、また緊張が増していくような気がした。

…討ち入りに参加したい。それは私の望みであり、けれど私一人ではどうしようもないことだ。私が決定権を持っている訳ではない。私がどれだけ悩んだところで、どれだけ葛藤したところで、結局は何の結果ももたらすことはない。私を討ち入りに参加させるのかしないのか、それを決めるのは一番隊隊長である沖田隊長だ。彼がそれを認めてくれない限り、私は屯所にて待機となる。


…けれど、沖田隊長が何と言おうと、私はそんな私の本心を見て見ぬふりはできない。彼の優しさを知っていても、それでも。


「…ですが…」

「…そのことを奴に切り出せない」


そういうことか、と。副長は淡々と、言う。私の悩みを聞いてくれているのに、丁度いい距離感というか、踏み込み過ぎない程度の関心を持っているような声色で、なんだか安堵してしまう。きっと私の緊張を少しでも解こうとしてくれているのだろう。私はコクリと、小さく頷いた。


「…沖田隊長は、本当に、私のことを考えてくれています。だから、その気持ちを無視するようで、言えなくて…」


…私が戦場に出ることを。私が傷付くことを、沖田隊長は恐れている。戦場に足を踏み入れたなら、何が起こるか分からないし、自分の身は自分で護るしかない。きっと無傷で帰れることもない。戦場で怪我をすることは、前提だ。最悪、へまをすれば命を落とすことになる。それは他人事ではなくて、その場に立ったなら普通に訪れる出来事である。その場では、非現実が現実になりうるのだ。


「伝えなきゃって、分かってるんです。言わなきゃどうにもならないことも、分かってるんです」


…けれど、言葉にしようとすると、彼の切実な想いを思い出してしまって、言葉に詰まってしまうのだ。

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設定タグ:銀魂 , 沖田総悟   
作品ジャンル:アニメ
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乙愛 - なんて可愛い反則技だろう…… (2019年2月28日 23時) (レス) id: 6dafc5383a (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - 白桃餅子さん» テストがあったんてすね、お疲れ様です(*^^*) 癒しになれたなら嬉しいです!ここ最近スランプのようなものに悩まされて頭を抱えておりますが、頑張らせて頂きますので、お楽しみくださいね! (2018年6月7日 23時) (レス) id: f6c7f9fb7e (このIDを非表示/違反報告)
白桃餅子 - テスト明けに来たらノックアウトされました(笑)いやあ、さすがですね。文才欲しいですわ……。沖田くん最高ですな! 続きも頑張ってください! (2018年6月2日 22時) (レス) id: 7a0c5e56cd (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - 姫さん» 姫さん!ありがとうございます!!わ、私の作品で…銀魂を好きに…!!感涙です!!!この小説を切っ掛けに銀魂を好きになってくれたら嬉しいです!!キュンキュン沖田さんをこれからも書いていきますので、お楽しみいただけたらと思います!!頑張らせて頂きます! (2018年6月1日 0時) (レス) id: f6c7f9fb7e (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 最近この小説の事を知り、銀魂は知らなかったのですが好きになりました!読む度に沖田さんにキュンキュンさせられてます!続き楽しみに待ってます。 (2018年5月27日 6時) (レス) id: ce80cc2f9a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ピピコ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/pipiko1030/  
作成日時:2018年5月3日 20時

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