【銀魂】沖田隊長、私は貴方の隣にいます【沖田総悟】

見逃さなかった　沖田side ページ25

…過激派攘夷浪士グループには大まかに言って二つの種類に分かれている。幕府に強い恨みを持っている組織と、そこまで幕府に恨み辛みを募らせているわけではなくともただ暴れて世間を騒がせたい組織だ。前者の場合、その組織には10年前の攘夷戦争に参加していた者が所属していたり、幕府によって何らかの迫害を受けた奴等が所属していたりすることが多いと考えられる。あとは、そういった奴等に共感したりした連中が集まっている。理解できなくとも、そこには奴等なりの思想があり、志があるものだ。だが、後者は違う。ただ自分達が暴れるために、または目立つために活動をしている。日常の不満を晴らしたいのか、自身の境遇にうんざりして間違った道に足を踏み入れたのか。よくわからないが、厄介なことに変わりはない。

話を聞くに、恐らく今回の事件の犯行グループは後者、志も特になく、ただ暴れるがために活動しているグループだと考えられる。志のある組織だとしたら、無差別に見境なく襲っていくとは考えにくい。それに、自分達の思想を世間に知らしめるために犯行声明を出す場合が多い。まぁ、自分達の組織を有名にするために、調子にのってそれを行うグループもあるにはあるが、そういう奴等は大抵すぐにしょっぴかれる。武蔵野組は、特に犯行声明は出していないようだ。暴れられれば、それでいいのかもしれない。


…だが今回のグループは侍の風上にもおけない連中とはいえ、腕の立つ者が所属しているため、幕府側としても手こずっていた。そこで、今回の事件を機に俺達が駆り出される訳なのである。


「なんか、通り魔みてェですねィ」

「そう変わらねェさ。ただ殺しをするために活動するグループだ。奴等は殺しを遂行するとき、それを祭りっつーんだとよ」


悪趣味な奴等だ、と。土方さんは呟きながらにタバコの灰を灰皿に落としていた。


「…祭り…」


と、隣から小さな声が聞こえてくる。Aの声だった。視線を向けると、苛立っているような、怒りを表情に現しているようだった。不愉快だったのだろう。奴等の「祭り」という単語が。


「そんで、ここからが本題だ。来週の水曜日に、奴等は幕府重鎮が集まる会合に奇襲を仕掛ける計画を立てているらしい」


そりゃまた、やらかしてくれるな、なんて呑気に思いながら、Aの様子を見据える。近藤さんは続ける。「そんな計画を実行させるわけにはいかねェ」。


「その計画を実行されるよりも前に、武蔵野組を制圧する」


…その言葉が響いた瞬間、Aの手のひらが、ギュッと強く握り締められたのを、俺は見逃さなかった。

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