やめるつもりは 沖田side ページ19
沖田side
…とてもいい朝だ、と俺は思った。
まぁ、毎朝Aからのモーニングコールを耳にしているから、ここ最近は最悪な朝だと感じることは少なくなったのだけれど。Aが真選組に入隊してからは、土方さんではなくAが俺を叩き起こしに来てくれるから、朝から胸くそ悪い気分になることはなかった。だって考えてみてほしい。目を覚ましてすぐに、まるで指名手配犯のような極悪面が俺を睨み付けているところを目にするよりも、俺の顔を困った風に覗き込んでいるAの顔を目にする方がよっぽどいいに決まっているだろう。天と地の差。月とスッポン。いや、月とスッポンの糞くらいに違う。そんなわけで、Aが「起きてくださいよ」と俺を起こしに来るのが、俺の楽しみのひとつなのである。
Aに言ったら怒られるだろうから言わないでおくけれど、たまにAが来るよりも前に目が覚めてしまって、けれどそのまま起きるのはつまらないから寝たふりをしてAを待っていることがある。見事な演技でまだ眠いのだとごねてまで見せる。今のところAに気付かれている気配はない。
…そりゃ、自力で起きた方がAの仕事が減るし、その方がいいのだろうけれど。でも、と俺は思う。
…目が覚めて一番に好きな奴の顔を見ることが、とんでもなく幸せなのだと知ってしまったから。
(だからもう暫く、やめるつもりはねーんだよなァ…)
…なんてことを内心で呟きながら、そんなとてもいい朝を迎えた俺は今、会議室へと足を進めていた。ちゃっちゃと着替えて、5分で朝飯を済ませて。目覚めてすぐのことを思い出しては、またニヤニヤとして。因みに今朝は本気で寝ていた。狸寝入りを決めていたわけではない。
「…いつまでニヤニヤしているんです、沖田隊長」
と、そんな俺に少し不機嫌そうな横目を向けるAは、「今日の会議は重要なものですから、気持ちと顔をちゃんと引き締めてもらわないと困ります」と続ける。不機嫌、というより、恥ずかしいのだろう。その恥ずかしさを、きっと意図的に不機嫌なように見せかけているのだ。可愛い奴め。
「なんでィ、総悟さん、じゃねーのかィ?」
「だ、だからそう呼ぶのは業務時間以外だと前にも…!!」
「さっきは呼んだくせに」
「そ、それは…!!沖田隊長が起きてくれないから…!!」
仕方なく言っただけです!と。顔をふいっと逸らされてしまった。細くて柔らかい髪の隙間から覗いた耳は、やはり真っ赤であった。
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乙愛 - なんて可愛い反則技だろう…… (2019年2月28日 23時) (レス) id: 6dafc5383a (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - 白桃餅子さん» テストがあったんてすね、お疲れ様です(*^^*) 癒しになれたなら嬉しいです!ここ最近スランプのようなものに悩まされて頭を抱えておりますが、頑張らせて頂きますので、お楽しみくださいね! (2018年6月7日 23時) (レス) id: f6c7f9fb7e (このIDを非表示/違反報告)
白桃餅子 - テスト明けに来たらノックアウトされました(笑)いやあ、さすがですね。文才欲しいですわ……。沖田くん最高ですな! 続きも頑張ってください! (2018年6月2日 22時) (レス) id: 7a0c5e56cd (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - 姫さん» 姫さん!ありがとうございます!!わ、私の作品で…銀魂を好きに…!!感涙です!!!この小説を切っ掛けに銀魂を好きになってくれたら嬉しいです!!キュンキュン沖田さんをこれからも書いていきますので、お楽しみいただけたらと思います!!頑張らせて頂きます! (2018年6月1日 0時) (レス) id: f6c7f9fb7e (このIDを非表示/違反報告)
姫(プロフ) - 最近この小説の事を知り、銀魂は知らなかったのですが好きになりました!読む度に沖田さんにキュンキュンさせられてます!続き楽しみに待ってます。 (2018年5月27日 6時) (レス) id: ce80cc2f9a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ピピコ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/pipiko1030/
作成日時:2018年5月3日 20時