【銀魂】沖田隊長、私は貴方の隣にいます【沖田総悟】

まんまと ページ18

…沖田隊長が起きてくれそうな方法。ひとつ、それを思い付いたけれど、実践するには少し躊躇いがあるものだった。沖田隊長が反応して目を開けてくれそうな確率は高いように思える効果的な方法だけれど、それには私がプライドや羞恥心などに見ないふりをする必要がある。彼の身体をゆさゆさと揺らしながら、私は葛藤する。その方法を実践すべきなのか、すべきではないのか。いや、きっと実践すべきなのだ。すべきなのだけれど……私にくるダメージというか、つまりは恥ずかしさが尋常ではない。それをやるのだと意識しただけで顔が赤くなってしまうほどだ。きっと端から見たらどうってことはないことだ。けれど私にとっては、相当な覚悟を要するものであった。

…だって、この間のデートでだって、すごくすごく頑張ったのだから。必死だったのだから。


…けれど、早くしないと、私が早く決断しないと、会議が始まる時間になってしまう。このままでは遅刻決定。同時に会議の遅延が決定してしまう。私と沖田隊長が情報を把握するのが遅れるだけならまだしも、皆さんに迷惑をかけるのは避けたい。これまで何度も同じ迷惑を繰り返しているのだから。


「…ッッ」


…仕方ない、やってやる。自分に鞭を討つような気分で一度唇をきゅっと引き結ぶ。すべては会議のため。仕事のため。私がこの状況を打破できなくて誰が打破するというのだ。恥ずかしがっている場合ではない。


…沖田隊長に手を置いたまま、身体を伏せるようにして、寝ている沖田隊長の耳に唇を寄せる。彼の寝息が近くで聞こえて、少し…というかめちゃくちゃドキドキしてしまう。そして。


「…お、起きてくださいってば……そ、総悟さん」


…と。彼の名前を口にする。沖田隊長、といつもの呼び方ではなく、彼の下の名前で。この呼び方をするのは、デートの日以来のことだった。


…すると、沖田隊長の肩が小さくピクリとして。彼は腕を退かして私のいる方向を向く。とても近い距離で、彼と目が合った。目を開けていても、当然目が焼けることはない。


「…今、名前で呼んだ？」

「…呼びましたよ…まんまと起きましたね」

「……もっかい言って」


眠たそうな声は、なんだか甘い響きを持っていて。その声に息をつまらせるようにドキリとしていれば、早く、と急かされてしまう。仕方がないから、もう一度。


「…おはようございます、総悟さん」

「…お前、いつからんな反則技覚えやがった」


おはよ、と。彼は渋々。けれど少し嬉しそうにしながらに、そう呟いた。


……朝のミッションは何とか果たすことに成功した。

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