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194 『千寿郎という童』 ページ45

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 煉獄家の屋敷もそこそこに立派なものであり、ほへ、と一瞬呆けたAは慌てて当初の目的を思い出す。目的も何も、煉獄に言われたからという単純なものだが。

 門は開いていなかったので、取り敢えず十分程その前で待つ。というか立ち尽くす。



「……」




 ──暇!




 本当に何も考えていないのだAは。バカなのかと問われたら物凄い勢いで首を縦に振るしかない。バカなのだ。

 そしてそんなバカも流石にこの状況を改善しようと動く。


 取り敢えず「すみませーん」と声を掛けてみる。しかし彼女は正直言って初対面の人と話すのが苦手だ。昔は全く問題が無かったが、常識を取り入れて行く度に自分のバカみたいな行動を思い返して死にそうになる。


 閑話休題。
 とかくして掛けられた声に、「あ、はい!」と反応する幼き声があった。




 ぎぃ、と音を立てながら開かれた門の前に、煉獄が幼児化した姿が見えた。




「ん???」




 いや煉獄な訳がない。煉獄はAより背が高い。それがこんな小っちゃくて柔っこそうで目がくりくりしてる訳がない。待ってほっぺめっちゃぷにぷにしてそう可愛い〜〜!! 何これ!? 可愛い〜〜触りたい〜〜〜!!


 そしてバッチィン!! ととんでもない音が炸裂した。Aが煩悩を掻き消す為に自分の頬を平手打ちしたのだ。唐突なことに目の前の童子はびくっとした。そりゃそうだ。目の前の美少女がいきなり自分で自分をぶっ叩いたのだ、訳が分からない。


 正直自分の平手打ちはかなり効いた。若干ふらふらとする頭を意志の力で固定して、「えっと……、煉獄さんの弟?」と訊いた。

 童子はハッとしたように口を開けて、「はい。煉獄千寿郎と申します」と丁寧にお辞儀をする。礼儀正しい少年であった。



「兄から話は聞いております。どうぞ這入って下さい」

「あ、あぁ、はい……」



 自分より凄くなおかつ位が高い者にしか敬語を使わないAが、千寿郎の口調に釣られてとはいえ敬語を使ったのはこの時が最初で最後である。


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千寿郎君が可愛い(真顔)。

195 『訳も判らずに』→←193 『万有引力』



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白夜の世界(プロフ) - まくすうぇるさん» ですよね。(真顔) (2020年5月8日 21時) (レス) id: ad65672360 (このIDを非表示/違反報告)
まくすうぇる(プロフ) - やんでゅぇる (2020年5月8日 21時) (レス) id: db32ad90f1 (このIDを非表示/違反報告)
白夜の世界(プロフ) - まくすうぇるさん» ありがとう御座いますっ……!!今回の描写とかちょっと人によってはぐろいってなるかもしれないので、いつも注意書きしているのですが嬉しいです。三人称の小説少ないので、万人受けはしないと思っていたのですが……、結構皆反応してくれますね(笑)。 (2020年5月7日 21時) (レス) id: ad65672360 (このIDを非表示/違反報告)
まくすうぇる(プロフ) - こういう描写書けるのって凄いです。尊敬します。(※嫌みではないです。純粋にそう思ってます) (2020年5月7日 21時) (レス) id: db32ad90f1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆりなんぽん - Ecarlateさん» 途中から失礼します!私も順番知りたかったのでありがとうございます! (2020年5月5日 15時) (レス) id: 3ac698d03c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:白夜の世界 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nisui03101/  
作成日時:2020年4月26日 17時

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