190 『とある少女の』 ページ41
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何か、予断は許されないんだとか。
マジでマジで? 私死ぬの?
嘘だろ。いや確かに、何であの痛みで私意識失くしてないのって感じだったけど。
待って待って。よく考えろ私。
いやでもこれは死ぬんじゃない? だって腹ぶっ刺されたじゃん。
貫通……、は、してなかったと思うけど。
待ってくれよオイ、誰か嘘だと言ってくれよ。死ぬのとか死んでも嫌なんだけど。
……つうか、此処、一体何処やねん。
──とある少女の独白。
+ +
「っぶっはぁ!」
寝台の上で勢いよく飛び跳ねれば、腹部に走る激痛。「ッ〜〜〜!!」とお腹を抱えて、声にならない悲鳴が喉奥から出た。
……いや、まぁ、ともかくとして。
私は今度はゆっくりと身を起こし、緩慢な動作で辺りを見回した。それから自分の体を見下ろして、ぺらりと自分の服を捲る。そこには未だ治っていない傷跡があり、痛々しさが残っている。
けれどそれは無視して、私は自分の手を握ったり開いたりしてみる。
それから息をすぅっと吸って、
「────っしゃァあ!!」
と勝利の雄叫びをあげた。瞬間後悔した。腹めっちゃ痛い。
おぅふ……、とベッドの上で痛みに悶える(二回目)私に、「な、何叫んでいるんですか!?」と溌剌とした女の子の、それでいてとても焦ったような声色の言葉が届く。ん、何処かで聞いた声だ。
私が未だ顔を顰めながらも声がした方を見れば、そこには黒髪を高く
「おぅ、アオイ……、久し振り」
「ッ──本当ですよ! 久し振りなのにこんな怪我して此処に運び込まれて!」
うわぁ何かめっちゃ怒っていらっしゃる……、私のせいだろうかこれは。
そんなことを思いながら無理に笑顔を作れば、アオイはふっと息を呑む。それからぱっと振り返って、「しのぶ様を呼んできますから、じっとしていて下さい!」とハキハキと言って姿を消した。
──友達みたいな子が泣いていて、それを嬉しいと思う私は、だめな人だろうか。
そんなことを考えながらも、今度は自然に緩んだ頬を抑えることはできなかった。
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白夜の世界(プロフ) - まくすうぇるさん» ですよね。(真顔) (2020年5月8日 21時) (レス) id: ad65672360 (このIDを非表示/違反報告)
まくすうぇる(プロフ) - やんでゅぇる (2020年5月8日 21時) (レス) id: db32ad90f1 (このIDを非表示/違反報告)
白夜の世界(プロフ) - まくすうぇるさん» ありがとう御座いますっ……!!今回の描写とかちょっと人によってはぐろいってなるかもしれないので、いつも注意書きしているのですが嬉しいです。三人称の小説少ないので、万人受けはしないと思っていたのですが……、結構皆反応してくれますね(笑)。 (2020年5月7日 21時) (レス) id: ad65672360 (このIDを非表示/違反報告)
まくすうぇる(プロフ) - こういう描写書けるのって凄いです。尊敬します。(※嫌みではないです。純粋にそう思ってます) (2020年5月7日 21時) (レス) id: db32ad90f1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆりなんぽん - Ecarlateさん» 途中から失礼します!私も順番知りたかったのでありがとうございます! (2020年5月5日 15時) (レス) id: 3ac698d03c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白夜の世界 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nisui03101/
作成日時:2020年4月26日 17時