188 『燃えた日輪刀』 ページ39
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れん、ごく、さ。
Aの喉から、そう、声が出た。驚きに満ちていて、何で、という感情がありありと受けて取れた。
瞬間、煉獄の力強い腕に首根っこを掴まれて、共に後ろへと後退する。は、は、と荒い息をしているのかは、何方のかは分からない。けれど少なくとも、この状況で一番重症であるのは煉獄だった──それはそうだ。
「……大丈夫だ、自分で止血できる。君こそ怪我はないか」
そのAを助ける為に翳した左腕の隊服が大きく切り裂かれ、ぽたぽたと血が流れ出ているのだから。
下級の鬼の爪や牙ならば防げるが、元十二鬼月のそれを防げるほど頑丈に作られていない隊服。今夜は十三夜で比較的明るいが、この山は木々が深くほぼ真っ暗だ。……明るい処で見れば、それがどれだけ赤に染まっているかなど、容易に想像できた。
ない、ないです、と泣きそうな声で応じるAに、煉獄が安堵の息を吐く。
煉獄とAのどちらが強いかといえば、それは煉獄だ。しかしそれは剣技のみで言うならばで、屋内、かつ刀などがない状況で肉弾戦となれば、それはAが勝つ。
……つまり、この場において──剣技に秀でている煉獄の腕が負傷したのは、この戦線ではかなりの痛手だと言えるのだ。
呼吸で止血をする。これは全集中を行える者なら全員できるはずだが、実際にできる者は一握りだ。彼女もご多分に漏れずできない。
「もう一度仕掛けるぞ。いけるか」
「──勿論、ですッ！」
彼女の元気の良い返事を聞き終えた瞬間から、煉獄は動いていた。
──炎の呼吸、伍の型、炎虎！！
莫大な殺気が鬼に当てられた。煉獄の周りには炎を纏った巨大な猛虎が現れ、その鬼を燃やし尽くさんと牙を剥く。それが彼の実力による幻影だと、一体誰が見敗れようか。
鬼もその技は見たことが無かったのか、目を見開く。そして直撃はまずいと悟り、大袈裟な動きで退避しようと──する前に、何故か、体の
「そのまま、焼かれろ」
嘲笑を含んだ声。
後ろ側に潜んでいたAが、鬼の両足を斬り落としている。唖然とした表情でそのままずるりと地面に崩れ落ちた鬼に、燃える日輪刀が振り下ろされた。
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白夜の世界(プロフ) - まくすうぇるさん» ですよね。(真顔) (2020年5月8日 21時) (
レス) id: ad65672360 (このIDを非表示/違反報告)
まくすうぇる(プロフ) - やんでゅぇる (2020年5月8日 21時) (レス) id: db32ad90f1 (このIDを非表示/違反報告)
白夜の世界(プロフ) - まくすうぇるさん» ありがとう御座いますっ……！！今回の描写とかちょっと人によってはぐろいってなるかもしれないので、いつも注意書きしているのですが嬉しいです。三人称の小説少ないので、万人受けはしないと思っていたのですが……、結構皆反応してくれますね(笑)。 (2020年5月7日 21時) (レス) id: ad65672360 (このIDを非表示/違反報告)
まくすうぇる(プロフ) - こういう描写書けるのって凄いです。尊敬します。(※嫌みではないです。純粋にそう思ってます) (2020年5月7日 21時) (レス) id: db32ad90f1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆりなんぽん - Ecarlateさん» 途中から失礼します！私も順番知りたかったのでありがとうございます！ (2020年5月5日 15時) (レス) id: 3ac698d03c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白夜の世界
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nisui03101/
作成日時：2020年4月26日 17時
