185 『鴉と魑魅魍魎と』 ページ36
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どうやら二羽の鴉はお互いの目的地を話し合っていたらしく、「煉獄ニツイテケ!」とのお言葉をとのから貰った。もとい見捨てられた。鴉にすら見捨てられるAの方向音痴具合とは一体……。
しかしそんなことを露ほども知らない煉獄は、「ふむ、同じならば着いて来るがいい!」とにっこり笑って告げた。イケメンである。Aのわずかに残っていた乙女心(笑)が撃ち抜かれた。行動がイケメンだ。大事なので二回言った。
「では行こう!」
「は、はい!」
──声がうるさいのはどうにもならないんだな。
行き先はとある山で、未だ数人しか犠牲は出ていないらしい。しかし鬼が出ていることは命からがら逃げきれた目撃者の証言から確定しているらしい。
道中はほとんど世間話をしていた。というか煉獄の声がデカ過ぎて距離を取ろうと思ったけれど何故か異様に近づいて来るので途中から相槌を打つだけだった。距離感が完全にバグってやがるこの人。しかし恩人であることは間違いないので何も言えない。何ちゅう負の連鎖だよ。
そんな様子のAを見て、煉獄はただただ可笑しそうに、笑っていた。
「──ふむ。此処か」
煉獄の静かな声に、Aはほとんど
ヒェッ、と息を呑んだAをそのままにし、足を踏み出した煉獄。は? と思わずガン見した彼女を唐突に振り返ると、「どうした、来ないのか?」と首を傾げて訊ねる。いやどうしたも何も〜、と語尾を濁す彼女の手が握られる。
「エッ」と喉から変な声が出た。
「ほら、行くぞA少女!」
「ウワァ──ッ離して下せえ何か幽霊とか出そうじゃないすか此処止まって下さいお願いっす後生の」
──前略、お師匠。
──今更のようですが、私は魑魅魍魎の類が苦手だったようです。
「心磨り減り過ぎて潰れそう」
「む!? 大丈夫か!?」
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白夜の世界(プロフ) - まくすうぇるさん» ですよね。(真顔) (2020年5月8日 21時) (レス) id: ad65672360 (このIDを非表示/違反報告)
まくすうぇる(プロフ) - やんでゅぇる (2020年5月8日 21時) (レス) id: db32ad90f1 (このIDを非表示/違反報告)
白夜の世界(プロフ) - まくすうぇるさん» ありがとう御座いますっ……!!今回の描写とかちょっと人によってはぐろいってなるかもしれないので、いつも注意書きしているのですが嬉しいです。三人称の小説少ないので、万人受けはしないと思っていたのですが……、結構皆反応してくれますね(笑)。 (2020年5月7日 21時) (レス) id: ad65672360 (このIDを非表示/違反報告)
まくすうぇる(プロフ) - こういう描写書けるのって凄いです。尊敬します。(※嫌みではないです。純粋にそう思ってます) (2020年5月7日 21時) (レス) id: db32ad90f1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆりなんぽん - Ecarlateさん» 途中から失礼します!私も順番知りたかったのでありがとうございます! (2020年5月5日 15時) (レス) id: 3ac698d03c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白夜の世界 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nisui03101/
作成日時:2020年4月26日 17時