184 『顔面に激突』 ページ35
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近くにあったたい焼き屋で貰って来た水を、煉獄は目の前の少女に差し出した。その少女は一瞬きょとんとするが、その意図に気づいてにへら、と笑う。「ありがとう御座います」と言いながらその湯飲みを啜る姿は、やはり以前見たものと変わらないもので。
──成長したな。
そう思う。前は全身骨と皮だけでできているのかと思う程に細かった腕は、依然として人より細いものではあるのは確かだが、きちんと筋肉がついている。肌も健康的に日焼けしていて、爛漫という言葉をその笑顔は彷彿とさせた。
先程道端でげーげーと吐いていたのもどうやら収まったようで、今はゆったりと落ち着いている。
「うむ! 良くなったようだな!」
「あは……、手間をお掛けしました」
苦笑した少女。
煉獄は少女に呼びかけようとして、そして自分がまだ少女の名を知らないことに気づいた。いや、確か名はなかったはずだ。──だが樹柱が自分の継子に名前を付けていないことなどあるだろうか。
そう考え、「君の名を訊いていなかった! 名は何と言うのだ!?」と訊ねる。Aっすよ、と水を飲み干した少女──否、Aが言った。
やはり榊原殿は皆が言う程ひどい人間ではない、と思った煉獄は彼が二週間近く同じ屋敷で過ごしていたのにその日まで一度も『名をつけよう』と言ってなどいないことを知らない。
「……っし。ありがとう御座いました、煉獄さん。もう大丈夫です」
「そうか! ところで君は何故此処にいるんだ!」
「そりゃ任務ですよー、とのさ……、あれ?」
自分の鎹鴉のとのに話しかけようとして、とのが自分の頭にも肩の上にもいないことに気づいた。む、と煉獄も訝しげに辺りを見回す。彼の鴉も何故か
二人が同じ
「ふごっ」と思わず呻きながら倒れる。顔面に張り付いたとのを慌てて乱暴な手つきで追い払った。両目が危うく潰れる処だったのである。
煉獄は「わはは!」と笑った。
「随分仲が良いのだな!」
「待って何処が!?」
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普通の夢小説なら『甘味処』と書かれているのにコレは『たい焼き屋』。何だこの違い。
……別にたい焼き屋でもいいよな!? 美味しいよなたい焼き!?(ちょっと不安になった)
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白夜の世界(プロフ) - まくすうぇるさん» ですよね。(真顔) (2020年5月8日 21時) (レス) id: ad65672360 (このIDを非表示/違反報告)
まくすうぇる(プロフ) - やんでゅぇる (2020年5月8日 21時) (レス) id: db32ad90f1 (このIDを非表示/違反報告)
白夜の世界(プロフ) - まくすうぇるさん» ありがとう御座いますっ……!!今回の描写とかちょっと人によってはぐろいってなるかもしれないので、いつも注意書きしているのですが嬉しいです。三人称の小説少ないので、万人受けはしないと思っていたのですが……、結構皆反応してくれますね(笑)。 (2020年5月7日 21時) (レス) id: ad65672360 (このIDを非表示/違反報告)
まくすうぇる(プロフ) - こういう描写書けるのって凄いです。尊敬します。(※嫌みではないです。純粋にそう思ってます) (2020年5月7日 21時) (レス) id: db32ad90f1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆりなんぽん - Ecarlateさん» 途中から失礼します!私も順番知りたかったのでありがとうございます! (2020年5月5日 15時) (レス) id: 3ac698d03c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白夜の世界 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nisui03101/
作成日時:2020年4月26日 17時