183 『煉獄杏寿郎』 ページ34
.
「鬼殺隊ってこんな忙しかったんですね……」
「そりゃァな」
などと会話しながら自分の家と泣く泣く別れたのももう数時間前だ。
とのはAの頭に乗りながら度々「違ウ! ソノ道ハ右ダァ!」と指南してくれる。というかこれは彼女が壊滅的に方向音痴なだけなのだが。南無三。
まぁしかし、鴉といえど結構な重量を持った動物に頭に遠慮なく乗られれば流石に重みを感じるA。ゆらゆらと重心が安定しないが、これも修行の一環だと考えてなるべく揺れないように歩く。ちなみにこれをずっと続けていたおかげでAの体幹は滅茶苦茶鍛えられ、片腕で自分の全体重を支えながらぴたりと静止できる阿呆みたいな特技が増えることになるのだが──その話はまた後日。
しかし、不意にとのの周りにぶぅんと虫が飛んできた。思わず翼をばたつかせると、「うぉ」とぐらりと体の軸がブレる。丁度刀の重みがあり、左側に彼女の体が傾いた。やべ、と思考したのも束の間、
「──おっと。大丈夫か!」
「わわっ」
けれども彼女は地面とぶつかることはなく、およそ超人的な速度で彼女の脇に手を差し入れ持ち上げた人物は、前に聞いた時と同じように元気な声で言うのだった。
まるで猫やらの動物のように自分の体が軽々と持ち上げられたことに彼女は目を丸くし、それからその人物の特徴的な目を見てぽかんと口を開ける。れ、と言葉を紡いだ。
「れ──煉獄さん!?」
煉獄杏寿郎はその特徴的な瞳を細めて「うむ! 元気そうで何よりだ、少女!」と告げた。
「はわわわこんな醜態晒しちまってすみません、というかおおお下ろして下さい」
「しかしこの体重は感心しない、きちんと食べているのか!? そこのたい焼きで奢ってやろうか!」
「話を聞かないのは相変わらず!」
まさかの恩人との再会に目を見開いて驚いたAだが、自分の格好があまりにも恩人と出会えるようなものではないことに気づいて懇願する。しかし煉獄は先程とは一転、顔を顰めながら彼女の体を揺らした。彼的には重さを確認する為の動作だったが、彼女の消化器官に猛烈な打撃を与える。
地面に足がついていない状態でぶらぶらと揺らされ、うぶ、とAは口許を押さえた。
「……うえ、」
「む!? 大丈夫か!?」
.
はァ──ッ!! 煉獄さんでした!!
何故かって!? 大好きだからだよ!!!!(クソデカヴォイス)
冨岡氏の出番もちゃんとあるよ!! 安心してね!!
175人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
白夜の世界(プロフ) - まくすうぇるさん» ですよね。(真顔) (2020年5月8日 21時) (レス) id: ad65672360 (このIDを非表示/違反報告)
まくすうぇる(プロフ) - やんでゅぇる (2020年5月8日 21時) (レス) id: db32ad90f1 (このIDを非表示/違反報告)
白夜の世界(プロフ) - まくすうぇるさん» ありがとう御座いますっ……!!今回の描写とかちょっと人によってはぐろいってなるかもしれないので、いつも注意書きしているのですが嬉しいです。三人称の小説少ないので、万人受けはしないと思っていたのですが……、結構皆反応してくれますね(笑)。 (2020年5月7日 21時) (レス) id: ad65672360 (このIDを非表示/違反報告)
まくすうぇる(プロフ) - こういう描写書けるのって凄いです。尊敬します。(※嫌みではないです。純粋にそう思ってます) (2020年5月7日 21時) (レス) id: db32ad90f1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆりなんぽん - Ecarlateさん» 途中から失礼します!私も順番知りたかったのでありがとうございます! (2020年5月5日 15時) (レス) id: 3ac698d03c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:白夜の世界 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nisui03101/
作成日時:2020年4月26日 17時